板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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パートナーエッセイ 第6回 「投資先企業の探し方」

★板倉の休暇中、当事務所のパートナーによるエッセイをお送りしております★

私は、価値に対してプラスの変化が起こっているものを見つけて、それが適正価格以下であれば投資します。

はじめまして、板倉雄一郎事務所パートナーの坂本です。
私はシステム・エンジニアとして約9年間、SCM(サプライチェーンマネジメント)や経営計画シミュレーションシステムの構築に携わってきました。
投資に興味を持ったのは2004年からです。素晴らしい人達との出会いもあり、どんどん投資の面白さにのめり込んでいきました。
板倉さんとの出会いは2005年1月でした。
私がたまたまgoogleで検索した「企業価値」というキーワードに板倉さんのブログがヒット!
初めてブログを読んだ時に衝撃を受けたのを覚えています。10分後には企業価値評価セミナーに申し込んでました。
セミナーの申し込み期限は過ぎていたのですが、無理を言って入れてもらったのを覚えています。

2005年1月15日、16日の2日間に渡る第2回企業価値評価セミナーを受講したのは私の人生で大きな転機となりました。特に1日目に作成する200年シートは衝撃です。(200年シートの内容はセミナーでのお楽しみです!)
私は200年シートで、企業の価値創造メカニズムを理解しました。


私の投資先を探すポイントは、その価値創造メカニズムを応用させたものです。
まずは普段の生活の中から世の中の変化をとらえます。
変化が起こっている業界の川上から川下までのバリューチェーン(原料調達→開発→製造→販売→サービスまでのプロセス)のマップを描いて、川下の需要が拡大した時に価値創造される企業を見つけて投資します。

構造変化と共に需要が大きくなり、それと共に企業も成長するというのは分かりやすいロジックかと思います。


次に見るのは、シェアをどのくらい伸ばせるかです。
ここでポイントとなるのは事業の競争優位性です。
他社が真似のしやすい事業だと一時的には成長するかもしれませんが、競合が増えて価値が破壊されるケースもあります。
他社に真似されない事業だと、供給が間に合えば投下資本回転率が上昇します。
供給が間に合わなければ、価格が上昇し売上高営業利益率が上昇します。


そうすると売上高営業利益率×投下資本回転率=ROIC(投下資本利益率)なので、ROICが上昇し企業の価値は創造されます。

企業価値の源泉とは、当該企業のWACC(加重平均資本コスト)を上回るROIC(投下資本利益率)を維持もしくは拡大し、さらにROIC-WACC=Spreadに投下資本額をかけた値です。

需要の拡大と共に企業が成長し投下資本額も上昇すると、価値が創造されるというロジックです。

このように価値に対してプラスの変化が起こっているものに投資します。
そして、とにかくいろんな可能性を考えて調べ尽くす事が大切です。

世の中の大きな変化には逆らえません。その変化によって恩恵を受ける企業に投資するのです。


さらに創造された価値を配分するのが経営者の資本政策です。

せっかく事業が儲かっているのに、経営者が別の儲からない事業に投資したり配当したりするのはもったいない話です。

常に資本効率を考えてお金を使うのが良い経営者です。そしてそれをIRする事がWACCの低下に繋がります。


板倉さんが言う「経営者は資本の管理者である」とはまさに名言です。


2006年3月19日 N.Sakamoto
ご意見ご感想、お待ちしています。


PS.
板倉さんが私の事を人間でなく宇宙人として紹介してましたが、もしかするとタイポかもしれません(笑





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