板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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サムライ会計 第23回『ワイフシェアリング!?』

(毎週木曜日は、パートナーエッセイにお付き合いください。)
みなさん、こんにちは(ご無沙汰しています!)。板倉雄一郎事務所パートナーの木村です。
朝夕とめっきり涼しくなり、秋らしくなってきました。

この夏休みは、娯楽(?)的な一連のニュース報道でマスコミ関係は盛り上がりましたが、一方で天気はというと今ひとつ盛り上がりに欠ける感じで、あっという間の夏休みでした。私自身としては、インプットモードで情報収集なども行いましたが、やはり自分の血となり肉となる「アウトプット」や「試合参加」の重要性を再認識した夏となりました。

さて、今までのエッセイ「サムライ会計」の中で日本の個別企業について取り上げ、理論株価まで言及するようなエッセイをお届けしてきました。今後は、そのような内容のエッセイも連載しながらも、その形だけに囚われない自由な内容も織り交ぜてお届けさせて頂きます。お付き合いのほど、どうぞ宜しくお願いいたします。

本日は、復帰一回目ということで、この夏の出来事やニュースなどを中心にざっくばらんにお届けします。

夏の出来事のひとつに、衆議院選挙がありました。
この選挙における結果をみると、最近の板倉さんのエッセイにもある通り、政党やマニフェストに対する支持もさることながら、政権交代という「変化」に期待して投票した層も一定数いたというような集計結果も公表されており、現状からの変化に対する国民の期待を見てとることができます。

その期待に応えるべく、民主党による政権がスタートした訳ですが、一部で「どうすれば、この不景気から回復し以前のような日本経済を取り戻せるか」という国民の過剰な期待と、それに応えて無理のある政策を打ち立てるシーンも出てくるのではないかという杞憂もあります。こう考えると、民間企業の方が、現実的な対応をとっているように感じます。

例えば先月末の報道では、トヨタ自動車が2009年度中にも世界でグループ全体の1割に相当する100万台前後の生産能力縮小に踏み切るというニュースがありました。稼働率を向上させ採算ラインの7割に近づけるためとのこと。

また一方で、9月8日付けのニュースでは、10月から愛知県内の車両組立工場などで、ハイブリッド車などエコカーの受注好調を受けて生産が回復しているため、期間従業員約800人の採用を再開すると発表しています。
世界的な需要が元には戻らないことをふまえ、生産設備や新卒採用などの固定費を削減し、変動費は需要に応じて期間工などで調整するという、いわば王道的な対応により、「変化」へ順応しようとしています。

豊田章男社長も先日の会見で、「主要市場であるアメリカの新車販売がピーク時の1700万台の水準に戻るのは難しい」との見方を示し、「新車販売は最近、年換算で1000万台超まで回復したが、良くても1400万台、現実には1200万台にいつ戻るかだろう」との見解のようです。
変化への対応というのは、いつか昔のように戻るのではないかと期待することではなく、現状を客観的に受け止め、その事実を受け入れ、その中で前向きに勝機を模索することかもしれません。

同じ自動車関係では、レオパレス21とガリバーインターナショナルが、カーシェアリング事業で業務提携するというニュースが2009年9月7日付で発表されています。(以下、レオパレス21のニュースリリースより抜粋)

1.業務提携の理由
昨今の環境意識の高まりや、不景気の影響を受けて、維持費のかかる自動車を「所有」するのではなく、ライフスタイルに合わせて必要なときに必要なだけ「利用」するカーシェアリングが注目されています。 当社は全国で約52万戸のアパートを管理運営しており、「Gulliverカーシェアメイト」を展開する株式会社ガリバーインターナショナルと提携し、これらの物件の駐車場にカーシェアリングを導入することにより、入居者の利便性と物件の付加価値を高め、入居促進につなげたいと考えています。

2.業務提携の内容
株式会社ガリバーインターナショナルと提携し、当社物件の駐車場を利用したカーシェアリングサービスを提供する。

「レオガリバーカーシェアリング」というネーミングはさておき(笑)、消費者の変化を取り込もうとする前向きな姿勢が見て取れます。シェアリングという考え方は、昨今の不況の中で浸透しており、今では「カーシェアリング」「ハウスシェアリング」「ワークシェアリング」などといった言葉を目にする機会が増えました。


サーバをシェアして効率的なウェブサービスを提供・享受しようというIT業界における「クラウドコンピューティング」の考え方は理にかなっていると思いますが、家も仕事も車も「シェア」するとなると、まさか奥さんまでシェアすることはないでしょうが(笑)、我々は一体を所有すべきなんでしょうか。
何でも所有しなければ満足できない、という価値観からの脱却は、特に日本は資源が限られているため必要だと思いますが、何をシェアして何を所有するのか、考える時期にきているのでしょう。

今日の一言;「変化への順応の先にある価値観とは」

2009年9月10日 T.Kimura
 ご意見ご感想をお待ちしております。

Ps
お知らせエッセイで告知もありましたとおり、久しぶりにオープンセミナーと「実践・企業価値評価シリーズ1日セミナー」を開催いたします。私は1日セミナーの一部を担当させて頂きます。皆様のご参加を心よりお待ちしております。

先日、当事務所プレミアクラブ内で、国際会計基準(IFRS)に関する話題が出ました。会員の方から、国際会計基準(IFRS)の導入にあたっての「変化」に関する質問があり、それに対して吉原パートナーと私で回答させて頂きました。内容としては、国際会計基準が導入されたからといって、実際のキャッシュフローが変化するわけではないので、企業価値評価の考え方は変わらないことの確認などであった訳ですが、一方で財務諸表の構成や利益の見え方が変わってくるため、テクニカルな部分では対応が必要になります。
次回の一日セミナーでは、最近の話題のテーマでもあります「国際会計基準(IFRS)」が、今後の企業価値評価やバリュエーション(シート)に与える影響についても、簡単に触れたいと考えています。





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