(毎週火・木曜日は、パートナーエッセイにお付き合いください。)
皆さん、こんにちは。板倉雄一郎事務所パートナーの木村です。
iPHONEの日本発売(7月11日)が近づいています。
そのスペックなどが公開されはじめましたが、「価格」という点では、当初のiPHONEからかなりの値下げがなされています。
長期契約(と月々のランニング費用の増加)を条件に、アメリカでは199ドルから購入することができます(日本を始め他国でも同様の価格で販売される見通しとのこと)。
当初、同スペックの端末がその3倍以上で売られていたことを考えると、納得のいかないユーザーもいるようです。事実、Appleは最初の値下げに際して、値下げ前購入者に商品券を付与するなどの対応を行っています。
このエピソードだけ聞くと、一貫性のない価格戦略のようにも見えますが、全世界でより多くのユーザーに新しいライフスタイルを提供しようとする姿勢は素晴らしいですよね。
なぜなら、ベンチャー企業が世の中に新しい価値を提供しようとする場合、ひとつのゴールとして、『その新しいサービスの価値が、世の中の社会基盤(インフラ)として機能する』ということが挙げられると思うからです。
ベンチャー精神を持ちながら、世の中をより便利にするためのインフラを提供した日本企業として、ヤマト運輸があります。
本日は、この企業の、(短期的にはトレードオフであることが多い)「サービスの質」と「利益」の関係についてのエピソードを紹介したいと思います。
同社のサービス名である宅急便ですが、今や映画のタイトルにもなるほど、人々の間に定着しています。(事実、「魔女の宅配便」って少し違和感ありますよね。笑)
それほどまでに生活に浸透したこの宅配サービスですが、参入当時は、業界独特の様々な規制や慣行が多く、利用者にとって便利とは言えない状況でした。
そんな中、ヤマト運輸の経営者であった小倉昌男氏は、「常に利用者の立場に立って」どうあるべきか考え、規制や慣行と戦いながら、より便利なサービスを目指し事業展開していきました。
宅急便を始めるにあたって、小倉氏は
「サービスが先、利益は後」というモットーを社内で掲げました。
収支のことは追及しない代わりに、サービスの質は厳しく追求する、という方針です。
その理念に基づき、
・宛先の書き間違いがあった場合、どれだけ電話代がかかっても長距離電話をかけ翌日配送の約束を守ることを奨励した(当時は長距離電話代が高く、運賃より電話代の方が高くなることもあった)
・集配と運行のサイクルを1日1回から2回に増加させ、それまでは午後集荷のみであったところを、午前集荷も可能にした
・追加でパートタイマーのドライバーを増員してまでも、不在者に対する配達時間を延長した
など、家庭向けの配送サービスを展開する上で、利用者のニーズを汲み取ったサービスメニューを、次々と付加していきました。
たしかにこれらのメニューは、利用者側の立場で考えると「嬉しい」「便利」なメニューであることは、想像に難くありません。
徹底的に顧客の立場に立って考える、という軸(信念)をぶらさずに持ち続けた結果、きめ細かいサービスが広く受け入れられ、今やなくてはならないサービスとしてインフラの地位を確立できた好例と言えます。
このヤマト運輸のエピソードも踏まえながら、米国企業Appleの今後の展開(と日本のキャリアやメーカーの対応)も楽しみに見守りたいと思います。
今日の一言;
「まず想像力ありき、次に実行する勇気」
P.S.
6月29日開催のオープンセミナーですが、引き続き受講者募集中です!
詳細はコチラまで。
2008年6月17日 T.Kimura
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