板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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パートナーエッセイ 第1回「IR悲喜こもごも」

★板倉の休暇中、当事務所のパートナーによるエッセイをお送りしております★

「ちなみに企業のIR担当者のミッションとは、WACC低減にあります。
それ以外のミッションなど、ありえません。」
(Deep KISS第54号「最適D/E比率」  より板倉さんコメント抜粋)

板倉雄一郎事務所WEBサイトをご覧の皆様、はじめまして!
板倉事務所パートナーの吉原と申します。

本日から板倉さんがお休みに入るということで、本日は私が代わりにエッセーを担当します。
ガッカリせずにお付き合い下さい(笑)。

エッセーに入る前に、まずは自己紹介から。
私は、今年になってから板倉事務所のパートナーシップに参加しまして、パートナーの中では一番新しいメンバーです。
企業価値評価セミナーでは、「有価証券報告書の読み解き方」の講義を担当しています。

これまでの経歴としては、公認会計士として某大手監査法人にて上場会社の監査業務や公開準備コンサルティング業務に従事した後、上場を目指していた某ベンチャー企業に転職しました。
その後、そのベンチャー企業が上場を果たしたことで、私はIR(Investor Relations)という業務を経験し、個人投資家、機関投資家問わず様々な投資家の方々に応対してきました。(今も続いています。)

そこで、今回のエッセーは、私の仕事に関連して「IR」をテーマに取り上げたいと思います。

IRのミッション=「WACCを下げること」、その通りだと思います。
WACCを下げるための具体策としては、良いことも悪いことも投資家に対して誠実に説明していくことで、投資家から信頼を得るしかありません。
そのため、私は、投資家からの質問がどんなものであったとしても、可能な限り丁寧に回答していくことを心がけています。

IR担当者としては、当社の開示資料をよく読み込んでくれている投資家から質問を頂くことは、たとえそれが厳しい内容であったとしても、嬉しいものです。
そうした投資家とのやり取りの中では、投資家から経営上のアドバイスが得られたりすることもあります。
投資家との間で双方向のコミュニケーションが成立した時には充実感を感じますね。

しかし、全てが充実感を感じるやり取りかと言えば、双方向のコミュニケーションが成立しない時もあります・・・。
例えば、こんな電話がかかってくることがあります。

投資家 :「株式の担当者いますか?」
私 :「はい。私の方で担当いたしております。」
投資家 :「おたくの会社、最近、株式分割してないですよね。次はいつですか?」
私 :「・・・。すいません、そういった質問にはお答えしかねます・・・。」
投資家 :「最近、株価が下がってるでしょ!IRとしてどう考えているんですか?
こんな時に何も発表しないなんてIRとして怠慢じゃないですか(怒)!」
私 :「貴重なご意見、ありがとうございます。今後の参考にさせて頂きます。」
投資家 :「おたくの会社は本当にわかってないな!とにかく何か材料出せよ!ガチャン(電話を切る音)!」

こうしたやり取りを受けて、私は「IRのミッションというのは、「株価対策にバンバン材料を出すこと」なのか?」と、一時期、悩まされました(笑)。そういえば、最近、年に何回か大きな材料を出さないと気がすまない会社がありましたねぇ・・・(遠い目)。

ちなみに、このやり取りの中で、IR担当者が理論的に説明したり、「株式投資は自己責任ですから」なんてのたまおうものなら、燃え盛る火に油を注ぐ結果となります。
IR担当者は、株価下落による投資家の行き場のない悲しみを一身に受け止めるセラピスト的な役割も担っています。←担う必要があるかどうかはわかりませんが・・・
IR業務は知れば知るほど奥深いものです(笑)。

今後は、このWEBサイトでも板倉さんによる「IR物語」が始まるようです。
皆さんも自分の投資している企業のIR担当者に質問して、「WACC低減」が行われているかどうか確かめてみてはいかがですか?
(上場会社IR担当者の皆様へ : 板倉セミナーの受講生は相当手ごわいので、全力で対応して下さいね(笑))

2006年3月14日 吉原信一郎





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