(毎週火・木・土曜日は、パートナーエッセイにお付き合いください。)
皆さんこんにちは、パートナーの石野雄一です。
ファイナンスというと、多くの人は資金調達を思い浮かべます。
確かに,無理もないことかもしれません。
ちまたには、
○×ファイナンスなどいうサラ金の広告があふれているからです。
ファイナンスとは何かを説明する前に、
まずは、企業の事業活動の流れを考えてみましょう。
企業は、人、モノ、カネ、情報、時間などの有限のリソース(資源)を
有望な事業に、投入(=投資)します。
投資なくしては、リターンはありえません。
何かを得るためには、
何かを失わなければならないのは、当然のことです。
投資するときに重要なのは、
どの事業に、いくら投資するかです。
経営者は、これを決定する必要があります。
次にその事業に必要なカネを、
どこからか調達してこなくてはいけません。
そのカネは資本市場や金融機関からの調達でまかなうわけです。
このとき、経営者は、
どのような調達が企業にとって望ましいかを決定する必要があります。
こうして、事業に投資して生み出されたリターンを、利息や配当、
あるいは株価上昇益という形で、
資金提供者である投資家(=株主+投資家)に還元する必要があります。
あるいは、有望な事業があれば、
そのリターンの一部を再投資するということもありうるでしょう。
このように、経営者は、
どのようにリターンを分配するかを決定する必要があります。
いままで、見てきたとおり、
経営者が行うべき意思決定には、
大きくわけて次の3つがあります。
1)有望な事業は何か、そして、
その事業にいくら投資すべきかという意思決定
(投資に関する意思決定)
2)投資のための資金を、
どこから、どのように調達してくるかという意思決定
(資金調達に関する意思決定)
3)投資家(株主+債権者)に対して、リターンをどのような形で、
いくら還元すべきという意思決定(分配に関する意思決定)
これらの経営者が行う財務的な意思決定の方法を学ぶ学問が、
ファイナンスといわれるものです。
資金調達だけがファイナンスではありません。
これらの意思決定の先にあるものはなんでしょうか?
それは、企業価値の最大化ということなのです。
これから、隔週でファイナンスの基礎理論について説明していきます。
時には、難しく感じることもあるかも知れません。
そんなときは、すべての話が、
この「企業価値の最大化」につながっていることを思い出してください。
2006年10月17日 石野 雄一
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