板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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Deep KISS 第40号「価値と価格」

本日は、ライブドア事件に加え、様々な情報の影響により、相場は下げました。
さて、こんなとき、どう解釈し、どう行動すべきか?

答えは、簡単です。
あなたの投資先企業の「価値」に、大きな下落要素があるのならば、間違いを認め、損切りをすることをお勧めします。
しかし、あなたの投資先企業の「価値」に変動が認められず、「価格」だけが下落したのであれば、「買い増し」のチャンスに他なりません。

この場合の「価値」とは、当該企業が将来生み出すであろう投資家に帰属するキャッシュフローの変化のことです。
まあ、簡単な話、これから先の業績ってことですね。

価格に換算して100の価値がある株式に、50という価格がつくこともあれば、300という価格がつくこともあるのです。
そしてその価格が、日々変動するのが株式市場というものです。
大切なことは、その企業の「一株辺りの価値」、
そして、その価値が時間経過と共に増大するのか否か、
を把握する知識を持つことなのです。

僕は、この絶好(とは言いすぎですが(笑))の「価値に対して価格が下がった」チャンスを、他の仕事をしていて逃してしまいましたとさ(笑)


ライブドア事件・・・これは、今見えている「容疑」の範囲では、全然収まらないでしょう。
多くの一般の方が思っているほど、「小さな事件」ではないのです。
当局がどこまでメスを入れるのか、それは僕にもわかりません。
しかし、ホリエモンだけではなく、その取り巻きの「インチキ錬金術師」たちは、ぶるぶるしていることでしょう。
メスを入れていけば、相当の膿が出てくることでしょう。
そのとき、みなさんにも僕がなぜ「ホリエモン関連」に、ことさらウルサイのか、ようやくご理解いただけるのではないかと思います。
(とは言っても、僕はファイナンスと経済の範囲でしか、批判はしませんが。)
今、メディアで散々説明していることは、
KISS第28号「株式分割と株式交換」にて、1年ほど前に既に書いていますので、参考にされてください。
(ただし、ライブドアマーケティングの話しではなく、ライブドア本体の株式分割と株式交換買収を基にした、一般論です。読者の皆様のファイナンスの知識のために御読みください。)

僕が最も恐れていることは、少子高齢化の中では、特に貴重な若い学生などが、社会に対する価値提供と無縁な、他人から経済価値を搾取するだけの「単なる錬金術」に憧れを持ち、誤った道を進み、人生の大切な時間を無駄にしてしまうことです。
誰も彼もが、「違法でなければなんでもあり」などという下品で低俗な人ばかりになってしまったら、この国もおしまいです。


幸い、僕のポートフォリオは、事件に関係ありません。
もちろん、「価格」は引っ張られ、下落しましたが、価値には今のところ変動はないはずです。
しかし、インチキ経営を野放しにしておけば、本来関係のない企業の「価値」にも、悪い影響を与えることになるでしょうから、今の段階で「警鐘」が鳴らされたことは、喜ばしいことです。

本来は、当局が動くまでもなく、投資家が賢くなって「企業価値」と「価格」の区別がつくようになり、また経営手腕について、しっかりとしたファイナンスの知識の上に立った評価が出来るようになれば、インチキ企業は、淘汰されるのですが・・・

まだまだ先は長そうですね。
でも、可能な限り、たくさんの「日本人」へ、経済とお金の仕組みを伝えてゆきたいと思います。

2006年1月17日 板倉雄一郎

PS:
昨日から、取材が殺到しています。
(春のときより、多いぐらいです。)
それぞれのメディアの信頼性を確認しながら、慎重に取材を受けるかどうかを決めさせていただきます。

PS^2:
フジテレビは、今回の事件を受けて、ライブドアに対し、
1、株主代表訴訟
2、資本提携解消
のどちらも選択でき、ライブドアとの縁を切れますね。
もし僕が、フジテレビの大株主だったなら、フジテレビの経営陣に対し、ライブドアに対し株主代表訴訟を起こすことを働きかけます。
もし、それが受け入れられなければ、フジテレビの経営陣を、株主代表訴訟します。
というより、インチキ経営であるかどうかを把握する術を持っていますから、インチキ経営者の経営する企業に投資したりはいたしませんが。





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