板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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Deep KISS 第47号「政府財政オフバランス」

敢えて、ライブドアショック以外のことを書きます。
ライブドアショックに関するエッセイは、このエッセイの下にあります。

経済用語で言うところの、オフバランスとは、
ある会計単位の、「資産」を売却し、「負債」を減らすことによって、
(負債と資産をぶつける、相殺するという意味です。)
資産残高を減らすに過ぎない行為であって、
資産残高が増えるわけではないのです。
オフバランスそのものでは、「経済価値創造」は、行われません。

このところ、「国家財政」に関して、以上のことが、さっぱり理解できていない「作家」などが、
「国は、借金も多いが、資産もたくさん持っている」
などと、不当に国民を安心させようとするような発言しています。

確かに、「経済価値のある土地」などは、官より民に「運用」してもらったほうが、経済価値が高まります。
ですから、政府財政のオフバランスそのものには、賛成です。
しかし、それは、
「政府の負債を、民に据えかえるだけ」の話であり、
同時に、
政府負債(=国債残高)の95%程度は、国民が債権者です。
つまり、国民が国民にカネを貸しているだけの話なのです。
それだけの話なのですから、
政府財政のオフバランスとは、
国家財政にとって必要だが、根本的な対策にはならない。
のです。
問題は、経済価値を生み出さないモノに、カネを使っていることなのです。
最も優先的にカネを投じるべきは、「教育」なのです。

家計内で、
お父さんの、お母さんという資産を、
お父さんが、お母さんへ売却し、
それによって、
お父さんが、お母さんに対する負債を返済したところで、
家計として何かが変わるとでも言うのでしょうか?

もちろん、「運用」が上手な方に、運用をしてもらうことを否定しません。
ですから、お父さんのオフバランスそのものには賛成です。

しかし・・・
国家財政の問題を解決する「唯一の方法」とは、
人が働き、価値を生み出すこと以外に無いのです。
断言します。

マネーゲームに興じている場合ではないのです。

2006年1月23日 板倉雄一郎

PS:
テレビのコメンテーターや評論家の皆さんへ
頼むから、僕のエッセイから、「表面」をコピーしないでください。
本質を理解していない人が、表面をコピーしても伝わりません。
本質を理解しないまま、伝えれば、ミスリードの可能性があります。
くれぐれも、お願いいたします。

PS^2:
雪が積もっています。
自らが所有する敷地内の雪かきだけではなく、
ドイツのように、
自らが所有する敷地に接する「公共の道路」まで、
雪かきするような人が、増えることを節に望みます。

っと思って、自らやり始めたが、凍ってって無理(笑)





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