板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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Deep KISS 第49号「損失を出したなら」

ライブドアの「信用買い残高」と、株価推移から考えて、大変多くの同社の株主が、大変多くの評価損していることは、明らかです。
信用取引を利用している方の中には、証券会社から「追証」を求められている人も、少なく無いでしょうし、追証を支払うことが出来ない方もたくさんいらっしゃるでしょう。
しかし、一度、自らの度重なる経営判断のミスによって自己破産した僕から言わせていただければ・・・

「その痛みは、投資家自身への投資」だったのです。
人間、痛い思いをしなければ、気が付けないことがたくさんあるのです。
これを機会に、「企業価値評価」の知識を学べばよいのです。
簡単ではありません。
マクロ経済、企業財務分析、ビジネスモデル分析、業界分析、競合企業分析、キャッシュフロー予測、資本コスト予測、市場メカニズム、価値創造メカニズム、企業の各種オペレーションの理解など、学習しなければならないことはたくさんあります。
しかし、それを学ぶことは、あなたとあなたの暮らす社会を守るのです。
知識を持つことのみが、投資リスクを最小化し、投資リターンを最大化する、唯一の方法です。
価値に対して投資をすることは、すなわち「投資家」という側面で、社会に対する価値提供になるのです。
なぜなら、インチキ会社を見抜くことが出来るようになり、インチキ会社を結果的に応援することを避けられるからです。

人生、いくらでもやり直すことが出来るのです。
自分の置かれた状況を、客観的に、冷静に、素直に認め、自業自得であること、そして今回の事件に「結果的に」加担してしまったことを認める「勇気」を持ってください。
失敗からの復活のために最も重要なことは、「現状認識」です。
その方自身の将来のために。

2006年1月24日 板倉雄一郎

PS:
明日(2006年1月25日)のテレビ朝日「スーパーモーニング」、
(本日の「スーパーモーニング」にも、僕の映像が使われていましたが)
金曜日(2006年1月27日)のテレビ朝日「朝まで生テレビ!」、
日曜日(2006年1月29日)のテレビ朝日「サンデープロジェクト」、
(テレ朝ばっかり(笑))
などに、出演予定です。
あくまで予定であって、ドタキャンに「される」かもしれません。

僕が、出演を承諾した理由は、
1、経済についての知識を学ぶことの大切さを多くの人に伝えたい。
2、「カネにガツガツした人間達」がこの事件の犯人であることを主張したい。
3、メディアや政治家の「手のひら返し」を、メディアで批判したい。
などです。

堀江君という存在は、現代「カネカネ社会」が生み出してしまった「結果」に過ぎないのです。
彼だけが犯人ではないのです。
誤解を恐れず、読者の「真意を捉える力」を信じて表現すれば、
堀江君も、ある意味、犠牲者の一人なのです。
経済、経営、企業価値、市場原理・・・これらに理解の無い者によるインチキ発言が、堀江君を暴走させた「一つの要因」なのです。

一体だれが、手のひらを返したのか、
一体だれが、堀江君を利用したのか、
一体だれが、一貫性のある主張を続けていたのか・・・

昨年の「ライブドア=フジ騒動」以降の、それぞれの方の発言を、思い出して頂きたい。
強制捜査以前と以後で、180度違った発言をしている人は、たくさん居ます。
彼らこそ、インチキの根源なのです。

経済の本質を理解していない者による「○○○億円儲ける!」的な書物、
企業価値になど全く理解の無いくせに、価格変動だけに着目した「デイトレ手法」的な書物を、無責任に出版した連中は、今こそ自らの振る舞いについて、それが社会にどのような影響を与えるのかを、副次的に考えていただきたい。

経済活動で最も重要なことは、
「価格変動を追いかける」のではなく、
「他人から経済価値を搾取する」のではなく、
「価値」を見抜く知識を養い、
「社会に対する価値提供」を真剣に考え行動することなのです。





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