世の中、「搾取」が割りと現実的に起こっています。
その原因は、
「搾取される側が、喜んで、搾取する側についてゆく」現象によるものが見受けられます。
たとえば・・・
村上ファンドと、村上ファンドの「買い」に群がる投機家の関係。
少なくともこれまでの村上ファンドの手口は、
短期的にある企業の大株主になり、
「企業は株主のものや!」とわけのわからないことを主張し、
当該企業の余剰資金を配当させ、
その上、群がった投機家に対し、
「配当によって(=現金流出によって)価値を失った企業の株式を、高値で売り逃げるわけです。
結果、「村上ファンドが買ってるんだぜ!」という投機家から、
村上ファンドは経済価値を搾取しているわけです。
なのに、投機家は村上氏を賞賛しています。
(余剰資金を遊ばせておいた企業を擁護する気などサラサラありませんが)
気がついたら、村上ファンドが居なくなっていた・・・
そうなるまで自分が搾取される側だったことに気がつかない。
たとえば・・・
ライブドア経営陣と、ホリエモンファンの関係。
「ホリエモぉ~ん!」と堀江を熱愛する超ド素人投機家に対し、
堀江以下同社の経営陣は、同社の「大して価値の無い株式」を、
超ド素人によって形成された「価値に対して相当に高い株価」で売り払い、
私腹を肥やす。
私腹を肥やすばかりではなく、本来商品ではない株式の売却益を、
まるで売上高のように見せかけ、
更に、超ド素人から経済価値を搾取することを続けていました。
彼らの手口が明るみに出て、株価が下落して初めて気がつく。
たとえば・・・。
オンライン証券会社の株式投資セミナーとその聴衆の関係。
オンライン証券会社の収益は、明らかに、
「売買手数料」&「信用貸付金利」。
よって、オンライン証券会社の開く「株式投資セミナー」では、
「たくさん売買しろ!」、「信用取引を使え!」というバイアスがかかります。
間違っても、
「価値を算定して、支払う株価以上の価値を手に入れ、ずっと見守りましょう」なんて教えたりはしない。
なぜなら、そんなことを教えたら、彼ら自身が儲からない。
彼らが儲かる分、彼らの顧客は損失を被る。
しかし、喜んで、彼ら主催のセミナーに出かけてゆく。
そして、一生懸命メモを取り、納得「させられて」搾取されてゆく。
たとえば・・・これ以上書いてもキリが無いです。
「経済価値は、経済価値について理解の無い者から、
理解のあるものへ、知らず知らずのうちに移転する」
搾取は、搾取される側の協力の下に、実現されるのです。
参考エッセイ:KISS 第119号「秤と南北戦争」
など。
2006年5月30日 板倉雄一郎