たとえば、「サギマガイ工業株式会社」の提供する「インチキ一号」という商品を、そのインチキさに気がつかない消費者がこぞって購入すれば、サギマガイ工業は繁栄します。
サギマガイ工業は、さらにインチキ2号を開発し販売する。
結果、世の中にインチキ商品が出回る。
しかし、多くの消費者が、インチキに気がつけば、インチキ一号は売れず、いずれサギマガイ工業は倒産する。
世の中には、本物商品だけが生き残る。
つまり・・・
カネとは、社会に対する議決権に他ならないということなのです。
参考エッセイ:KISS第31号「お金とは」
カネ、金、カブ、株、○億円儲ける方法・・・こんな「いかがわしい本」が出回るのは、それに群がる大衆が居るからに他ならない。
そんな本を読んだところで、出版社の売上と、著者に印税が入るだけで、読者自身が得ることなどほとんど何も無いにもかかわらず。
つまり、
「消費者の賢さ」と「本物の価値ある商品」、
「株主の賢さ」と「価値創造を継続する経営」、
は、「同じことの別な側面」に過ぎないわけです。
「カネだけを追い求める大衆」と「カネ儲けの本」、
これも、「同じことの別な側面」に過ぎないのです。
昨今のインチキビジネス、昨今の残虐な事件、昨今のインチキお金本・・・
これらは、一見関係の無い我々に、本当に、全く、責任が無いのでしょうか?
普段の我々の生活の中に、これっぽっちも原因が無いのでしょうか?
我々は、我々自身のために、カネという社会に対する議決権を、しっかり考えて行使しているのでしょうか?
人生の中で、最も高価な買い物をするときに、その購買対象の最も重要な価値(=マンションの場合なら構造)について、十分に検討したのでしょうか?
「安い」に翻弄された可能性は、無いのでしょうか?
インチキビジネスの温床は、実は、消費側にあるのではないかと思うのです。
(もちろん、インチキビジネス主催者を弁護するつもりなんて、100%ありません)
たとえ1円でも、それを(消費や投資で)行使した結果、社会に対して、そして自分自身に対して、どのような影響があるのか・・・「風が吹けば、桶谷が儲かる」がごとく、副次的に考えてみる必要があると思うのです。
議決権を行使するにあたり、大切なことは、「経済の仕組み」についての理解をすることです。
「経済の仕組み」に理解が無ければ、議決権を上手に行使することなどできないばかりか、多くの場合、第三者によって、あなたの議決権が搾取されてしまうということを、まず理解すべき、ということです。
経済システムを「複雑系」と言う人が居ます。
そんなの嘘です。
経済システムおよび社会構造は、明らかに「ループ系」です。
自身の議決権の行使の仕方によって、社会に対して、自分自身に対して、そして自分の子孫に対して、どのような作用があるか・・・考えるべきでは無いでしょうか。
「渋滞を作っているのは、自分自身なのですから」
あなたは、あなたの経済活動のすべてを、自分の子供に見られても平気ですか?
2005年12月15日 板倉雄一郎