板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

企業価値評価・経済・金融の仕組み・株式投資を分かりやすく解説。理解を促進するためのDVDや書籍も取り扱う板倉雄一郎事務所Webサイト

feed  RSS   feed  Atom
ホーム >  エッセイ >  DEEP KISS  > Deep KISS 第85号「UFO読書の薦め」

Deep KISS 第85号「UFO読書の薦め」

結論:「どんな書籍より有価証券報告書」

財務会計の基礎を学んだり、企業価値評価を学んだりするのは、何のためでしょうか?

「株式投資で成功するため」の人も居るでしょう。
「企業経営で成功するため」の人も居るでしょう。
「会計士の免許を取るため」の人も居るでしょう。

目的は人それぞれにあると思いますが、一つだけ共通しているのは、「企業を知る」という点です。

いくら理論を学んだところで、それが現実のケースに応用できなければ何の意味もありません。

現実のケースに当てはまらない理論など、ほとんど何の役にも立ちません。

そして、経営や投資(←この二つは本質的に同義です)で成功するためには、当たり前ですが投資対象の「企業についてよく知る事」が大切です。

理論を学び~現実のケースを研究し~投資や経営に生かす、という順番はなんとなーく合理的な感じがします。

しかし、具体的に「知りたいこと」が無い段階で、ひたすら理論を学んだところで、全く身に付きません。

たとえば・・・
「異性にモテたい!」という欲求があり、
その欲求を満たすために「異性について知る」、
「何が異性の気を惹くのかを研究する」という順番は、
「馬鹿の壁理論」としても有効です。

何しろ、欲求があればあるほど、知る力は強くなりますから。

で、僕は、企業について知るために、先ずは有価証券報告書(=UFO)を読むことをお勧めします。

投資したい企業、就職したい企業、取引したい企業、競合企業などなど、要するに「気になる企業」のUFOを熟読することをお勧めします。

UFOを読み解くうちに、「これ何?」、「この数字の意味は?」と、
たくさんの疑問がわいてきます。

そのときこそ、その疑問を解くための「基礎の学習」を効率的に行うチャンスです。

UFOをろくに読みもせず(=投資対象がなんであるか不明のまま)投資し、
後に損害を被り、UFOの一文字も読んでいないのに、
UFOに虚偽記載があったと訴えるのは馬鹿です。

UFOをろくに読みもせず、なんとなく経営者の発言や雰囲気から、
その企業を応援して、結果として悪事に間接的に関わるのも馬鹿です。

自動車を買うとき、その自動車について「知ろう」としますよね。

就職でも、投資でも、普段の消費活動でも、「今の金や時間を支払う対象が何であるか」を知らずに損失を被れば、自業自得です。

そもそも、理解できない対象には、金や時間を支払うべきではありません。

世の中には、株式投資に関わる本、財務会計に関わる本がたくさんあります。

多くは、著者の理解不足、経験不足によるインチキですが、
中には、真っ当な内容の本もあります。

しかし、どんな本より、企業に付いて知ることができるのは、
誰がなんと言おうと、「有価証券報告書」です。

すべての有価証券報告書は、現実のケースです。
(中には、インチキが書かれた「有価証券報こクソ」もあります)

一つの企業に的を絞り、その企業のUFOを過去何期分かに渡り、
読み込んでみることをお勧めします。

わからないことがあれば、
そのときに初めて必要な基礎知識を得ればOKです。
先ずは、有価証券報告書を読んでみてください。

コツは、その企業は、
「本質的に何を売っているのか?」
「価値を左右するキーファクターは何であるか?」
そして、
「この企業は、継続可能なのか?」という点です。
特に「経営者の過去の発言と、現在の実績の違い」は重要です。
経営における理念や目標指標が、刻々と変化しているような企業は要注意です。
(↑ 進化している場合には変化もOKです。)

来週からその企業の経営を任される立場になったつもりで、その企業のUFOを読んでみれば、いろいろなことがわかるはずです。
「この企業の経営者にはなりたく無いな」と思えば、
株主になることもお勧めしません。

もし、UFOを読まず、株式投資で失敗しても、誰にも文句を言えません。

人生のすべては、自業自得です。

ちなみに、コチラで、すべての上場企業のUFOを閲覧することができます。
(↑ 昼間はとっても遅いです。)
さらに、ちなみにですが、このようなWEB上の数値を、合宿セミナーで作成するエクセルの「バリュエーションシート」に自動的に引っ張ってくるソフトウェアが、ある卒業生の手によって作られ、卒業生メーリングにて公開されていたりもします。

2006年6月15日 板倉雄一郎

PS:
そのうち、個別企業の有価証券報告書を、僕がどのようなステップで読んでいるかを詳細にお知らしますね。
お楽しみに。
(↑ いつになることやら)
でも、そのエッセイから多くの価値を読者の皆さんが得ていただくために、
先ずは、わけがわからなくても良いですから、UFOを読んでみてくださいね。





エッセイカテゴリ

DEEP KISSインデックス