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Deep KISS 第5号「勝手な希望」

(このエッセイ、ほんの少し、文章を追加しました)

阪神電鉄と村上ファンドに対する「勝手な」希望。
「勝手な」の理由は、
僕は阪神電鉄の株主でもありませんし、
阪神電鉄を普段利用する顧客でもありませんし、
(野球を観ないので)阪神タイガースのファンでもありませんし、
また、村上ファンドの出資者でもありません、という意味です。

阪神電鉄の財務データを見れば、誰にでもわかることですが、この企業の収益性は、極めて低いわけです。
これは、同社が保有する不動産の時価より、事業価値のほうが遥かに低いことからもわかりますが、要するに、「保有する不動産価値に見合った事業収益を実現できていない」ということです。

この状態は、逆に言えば、「経営努力次第で事業価値を増大させることが出来る」という可能性を含んでいます。
ですから、村上ファンドにおかれましても、全うな「価値創造に貢献する株主」として、同社の事業価値の増大によって、株主価値を増大させ、その上でキャピタルゲインを得ていただきたいと思います。

以上のような、いわゆる「企業再生」を成し遂げるとするならば、
その結果得る「キャピタルゲイン」は正当なものだと思いますし、
企業再生が成し遂げられれば、
これまで「嫌い」だった村上氏を、一転、尊敬します。
仮に、思うように収益を伸ばせなかったとしても、その努力が見えれば、同様に尊敬します。
(↑、僕に尊敬されても何の意味もないとは思いますが(笑))
ただし、残念なことに、村上ファンドが上げる収益の大部分は、「日本国内」に還流しないわけですが・・・・(つまり、彼のファンドへの出資者に利益の大部分が帰属するわけで、その出資者の大部分は、「日本で暮らしていない人」らしいです。)

保有不動産の証券化など、第三者への売却と、同不動産の阪神電鉄が借主になる賃貸契約によって(=つまりリースバックによって)、一時的に流入したキャッシュ(=不動産の売却益)を、「さあ、配当せぇ!」とか言って、投資額以上の配当を得て、「ほなサイナラ」とばかりに、価値算定の出来ない個人投機家に、高額な配当によって価値を失った同社株式の「ババを引かせて」トンズラ、は、止めてくださいね。
もし、このような戦術を行うことがあれば、それはすなわち「日本人の経済価値を、この国で暮らしていない人の下に移転させる」と言うことですからね。

(↑、あくまで僕の妄想ではありますが、過去の村上ファンドの「やり口」を参考にしています。)

2005年10月12日 板倉雄一郎





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