板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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Deep KISS 第58号「インフレ」

資産を減らさず、増やす目的の中では、「インフレ」は最大の敵です。

キャッシュをタンスにしまっておけば、その額に変化がなくても、毎年インフレ率程度、その交換価値は下落してゆきます。

利率固定の債券を保有する場合、その債券からキャッシュフローが得られても、投下資本(=債券購入価格)に対する利回りが、インフレ率以下であれば、ちょうどその分の経済価値が破壊されてゆきます。

変動利付き債券を保有する場合、(債券のタイプにもよりますが)インフレによって貨幣価値が減少する分、キャッシュフロー(=金利)が増え、ほぼ帳消しになり、経済価値は維持されます。

株式への投資の場合、(しっかり価値提供を行うであろう企業に限りますが)・・・
インフレによる原材料価格や人件費などの高騰を商品価格に転化できる企業の価値は維持されますが、そうでない企業の場合は、出遅れます。
一般的に、その業界の「川上」にある企業や、「高付加価値商品」を提供している企業の場合、価格転化が、それ以外の企業に比べ容易です。

一般的に、企業への投資がインフレに最も強いのです。

また、企業価値を測る上で、将来のインフレ率は、DCF法による割引率の底上げ因数である「リスクフリーレート」に内在します。
超長期に渡って企業価値を把握する場合、当然ながらリスクフリーレートも超長期の予測から因数を決定します。

ふと思い立ったので、書いてみました。

金(=ゴールド)・・・価値がありますし、比較的安全ですが価値創造は行われません。

外貨預金・・・様々な国とのバランスの上に為替レートが形成されますから、安易なことは申し上げられません。ただし、その国で過度なインフレが起こると予測される場合(←起こると断言していません)、外貨預金などの在外資産を持つこと、または総資産に占める在外資産の割合が大きい企業への投資や、マーケットを海外に持つ企業への投資は、合理的です。
ただし、経済の面で、「一人勝ち」は、起こりえませんので、ご注意を。

(以上、短期の価格変動については、僕は知りませんからね。)

2006年2月15日 板倉雄一郎

PS:
ちなみに、「ポイントシステムは貯めるな!」という僕の主張に対して、
「それは、インフレ時の話しでしょ」と、まあ中途半端な理解の方からの意見が、たまにあります。
もちろん、その考えは間違っています。
インフレであれ、デフレであれ、その経済価値をポイント残高で持つより、キャッシュで持つほうが良いに決まっています。
キャッシュには強制流通力がありますから。





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