板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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Deep KISS 第86号「評価損との戦い」

一株1000円で投資した株式の株価が、900円になれば、
マイナス100円(*株数)の「評価損」が出ます。

多くの人は、この「評価損」にビビり、最悪の場合「損切り」します。

損切りした結果「評価損」は、実際の「損失」になるわけです。

しかし、冷静に、よーく考えてみてください。

あなたが、「真っ当な株主価値評価」を行い、
その結果、
「この企業の株価は現時点で1,200円が妥当だ!」

と自信を持てるなら、市場が900円という株価をつけたところで、あなたの持つ株式の価値は、一株あたり1,200円であることに変わりないワケです。

もし、あなた自身の「価値算定」に自信が持てるなら、
たとえ市場が900円という株価をつけていたとしても、
「あら、またお安く譲ってくれるのね!」と喜ぶべきです。

資金に余裕があれば、「買い増し」すれば良いですし、
資金に余裕がなければ、放っておけばよいわけです。

「評価損」とは、即ち、
あなたが株式を購入した価格と、
現在の市場が提示した「価格と価格の比較」に過ぎません。

この「評価損」には、「価値」の概念は含まれていません。

デイトレーダや、
ファンドマネージャーによって形成された、
「一時的株価」に翻弄されるようでは、
株式投資で長期に亘って成功することは出来ません。

あなたが「余裕資金」で株式投資をしているのなら、
「評価損」に惑わされる合理性は、全くありません。
一方、ファンドマネージャなど、「利回りの期限のある者」の場合、
残念ながら、
「価値」より、「過去の株価と現在の株価の差」がすべてとなります。

彼らの最大の弱点です。

余裕資金で株式投資をするということは、
すなわち、「価値に対する投資」が可能になり、
投資リスクを排除できるということです。

投資で長期に亘って成功するためには、
「自分の価値算定に自信を持ち、短期の株価に翻弄されない事」
が大切なのです。

市場は、少なくとも長期では、「価値に均衡した価格」をつけるものです。

なぜなら、市場は、
「価値に対して安い価格」を放置しませんし、
「価値に対して高い価格」をいつまでも継続しないからです。

皆、「リスクに見合ったお金が欲しい」からです。

株式投資で長期に渡って成功するためには、時間経過と共に、株主価値を増大させうる企業に『価値 > 価格』のタイミングで投資し価値変動を見守ることが大切なのです。

必ずしも、「底値」で投資する必要はありません。

本当に大切なことは、
「時間経過によって株主価値を増大せせる企業」
を見抜き、投資することなのです。

一方で、「短期の株価下落」にビビッて損切りする人のおかげで、
「価値 > 価格」が形成されますから、
価値を把握して投資する者にとって、とてもありがたいことです。

自身の価値算定に自信を持てれば、
市場の付ける「短期の株価」を見方につけることが出来ます。
価値算定の技術を、しっかり得ること、が大切です。

「自分を信じるものが勝つ」のです。
自分を信じる根拠は、「真っ当な知識」を得る以外にありません。
自分を信じる根拠に自信がないのなら、
株式投資も、企業経営も、するべきではありません。

自身が損失を被るだけではなく、
(過去の僕のように)他人にも損失を与えてしまうだけです。

経済活動で成功するためには、
「ただがむしゃらに努力する」だけでは、不十分です。
思い込み、ではなく、本当の自信、を持つことが必要不可欠です。

(以上は、「ただ単に長期で持っていればいい」ということではありません。
 価値算定に間違いを認めたら、直ちに「損切り」をすることも大切です。
 「損切り」によって、あなたの資金の流動性は高まり、
 より価格に対して価値の高い投資対象を選ぶことが可能になります)

この手法の最大のメリットは、
人生の貴重な時間を、
「相場とにらめっこする」といった、
「社会に対する価値提供の伴わない馬鹿げた行為」
に浪費してしまうことから、
「社会に対する価値提供の伴う価値ある仕事」
に使うことができるようになり、
価値算定の学習の過程で得られる知識は、
社会に対する価値提供を増大させることが出来る、という点です。

投資活動のリスクを低減し、リターンを最大化するだけではありません。

2006年6月17日 板倉雄一郎

PS:
当事務所の合宿セミナーでは、
「株主価値の算定」及び、
「時間経過による株主価値の増大を見抜く術」を、
論理的、具体的、且つ現実的にお伝えしています。

7月1~2日開催の「合宿セミナー」の募集は、
6月26日にて締め切ります。

ご興味のある方は、是非この機会に。
(なお、8月の合宿セミナーの開催は予定していません)





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