板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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Deep KISS 第53号「価値と価格・シリーズ3」

価値は、自ら創造するもの。そして自ら評価するもの。
しかし、価格は、他人が付けるもの。

たとえば、自らが社会に対して価値を提供する場合、
自らが資源を調達し、その資源を利用し価値を創造する。
その価値に対して、価格を付けるのは、他人。

たとえば、自らが価格を支払い、価値を手に入れるとき、
手に入れようとする価値を、評価するのは自分自身。

「自分の価格は自分で決めるんだ!」という方もいらっしゃるでしょう。
確かに、自分の価値、自分が生み出した価値に対し、
自分勝手な価格を付けることは自由です。
しかし、自ら付けた価格によって取引が成立するためには、
その価値と価格の妥当性を認めてくれる他人が必要なのです。
よって、結局のところ価格は他人が付けるものなのです。

価値の無いモノに、価値に対して相当に高い価格を付ければ、
いずれ買ってくれる人は居なくなります。
株式であれ、債券であれ、不動産であれ、
普段の仕事であれ、自分自身であれ、なんであれ、
価値と価格は、市場原理によって均衡します。

つまり、カネそのものを追いかけていたのでは、カネを掴むことはできません。
価値を創造し、社会に提供すれば、カネは勝手に後から付いてきます。

カネは他人から奪い取るものではありません。
カネを手に入れるには、自ら価値を生み出す以外に無いのです。
そして、その後、カネがカネを生み出すようにするためには、
社会から頂いたカネという社会に対する議決権を、
大切に行使しなければなりません。
我々自身と、我々の暮らす社会のために、我々は、
議決権を行使する対象の価値評価を、しっかり行う義務を負っているのです。
価格変動を追いかける投機活動は、
価値と価格の大きな乖離(かいり)を生み出します。
それは、あなたと、あなたの社会を滅ぼしてしまいます。

冒頭のフレーズを繰り返します・・・
価値は、自ら創造するもの。そして自ら評価するもの。
しかし、価格は、他人が付けるもの。

2006年2月6日 板倉雄一郎

PS:
たとえば・・・
経営者の仕事は、「企業価値の最大化」ですが、
その企業価値に対して、企業価格を付けるのは、経営者ではなく市場です。
(ちなみに、企業価値=「株主価値+債権者価値」であって、「時価総額+有利子負債」は、企業「時価」ですので、このを混同している表現を見つけたら、その表現者の表現を信頼できないと思っていただいてOKです。)

たとえば・・・
皆さん自身の労働力を高く売りたい場合、それに対して価格を付けるのは、
間接労働力提供の場合であれば、企業が、
直接労働力提供の場合であれば、社会が、あなたの能力に対する価格を決めるのです。
つまり、カネを稼ぎたいなら、
自らの能力を磨き、提供できる価値を増やすしかないのです。
参考エッセイ:DeepKISS第37号「間接労働力提供、直接労働力提供」

PS^2:
ご自身の「資産目標」などを、「手帳」に付けて邁進するなんて事ほど、馬鹿馬鹿しいことは他にありません。
そんな目標を立ててしまうから、その目標のためには「何でもやる」ということに成ってしまうのです。
目標を立てるなら、社会に対して一体何を提供するのか、それを目標にするべきです。
目標より、「手段」における誠実さの方が、遥かに重要です。
そもそも数値化できる目標など、大した価値の無いことです。
結果としての数値は、それが資産であれ、接する人の数であれ、時価総額であれ、勝手についてくるものなのです。

ちなみに、板倉雄一郎事務所には、売上目標も、利益目標も一切ありません。
あるのは、毎回いらしていただくセミナー受講生、このWEBの読者などに対し、「全うな知識」を伝えることによって、社会に価値を提供する。
ただそれだけです。





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