板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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SMU 臨時号「算数のお勉強」

臨時号です。SMU第64号「企業価値評価シリーズ始動」で紹介した「債券価格と利回り」に関する読者から質問が多数よせられました。

いやいや、ディスカウントキャッシュフローだの企業価値評価だの言っている場合じゃないと痛感しましたよ。決して読者を馬鹿にするわけではないのですが、僕の記憶では小学校の算数で習った考え方が、どうやら理解できない人が多いらしくて・・・・トホホ。

よくある間違いは、

「一年後の100万円を2%で現在価値に割り引く」というと、
100万円に98%をかければよいと思ってしまうことが多いのですね。

違うんですよ。わかりやすく数字を大きく(2%ではなく20%)してやってみますね。

100万円の20%オフは、誰でもわかりますよね。80万円です。
ですが、80万円の20%アップは・・100万円ではなく、96万円です。

つまり、一年後の100万円は、現在のある金額(Xとしましょう)が、年率20%の利回りで100万円になるということであって、100万円の20%オフではありません。

100万円(一年後のお金)=X(現在のお金)×(1+20%)でしょ。

だから、X=100万円/(1+20%)となります。

よって、一年後の100万円を年率20%で現在価値に割り引くと、答えはおよそ833,333円となるわけです。ためしに、833,333円の20%アップを計算してみてください。およそ100万円になるでしょ。

(割り切れない分があるので、掛け戻すと少しずれます) 同様に、二年後の100万円とは、年率20%の利回りで二年ですから、複利で考えなければなりませんよね。現在のある金額(X)が、一年後に1.2倍(20%アップ)になって、その増えた分がさらに一年後に1.2倍になって100万円になるわけだから、

100万円=(X*(1+20%))*(1+20%)=X*(1+20%)^2
(「^」はべき乗の記号です)

となるわけで、X=100万円/(1+20%)^2

同様に、三年後の100万円を年率20%で現在価値に割り引くには、

X=100万円/(1+20%)^3

となるわけです。わかりましたか?

以上のことわからないとマズイですよ。ダマされますよ。アナタを馬鹿にした人たちに。と書くと「大丈夫、私は数字がわからなくても、人を見抜けるから」などとおっしゃる方がいますが、そういう人に限って、「20年間無事故ならボーナス40万円!」などの広告コピーにだまされるんですよ。

20年後の40万円って、現在価値に割り引いたらいくらだかわかりますか?金利がいくら低くても、とんでもなく小さな今のお金なのですよ。つまり保険会社は、あなたから奪ったお金のほんのわずかを、あったり前の運用をするだけで、20年後に40万円になるんですよ。あなたは20年間払った金額をベタで足し合わせて、そこから戻ってくる予定の40万円を引いて、「なぁ~んだ、ちゃんと戻ってくるじゃないかぁ」などと計算していませんか?あなたの掛け金の大部分は保険会社の懐なんですよ。

あらぁ、こんなホントのこと書いちゃうと、保険代理店の友達に怒られるかな(笑) ちなみに、年率20%の複利で10年経つとどのくらいになるかわかっていますか?

なんと、6倍以上!逆に消費者金融から25%でお金を借りて、全く返さなければ、10年後には、9倍以上!すごいねこれ。

でも、もっとすごくて、喜ばしいほうの数字も書いておきますね。

元手100万円で、あなたが株式投資を上手にこなして、年率20%の利回りがあったとして、得られた利回りも再投資し続けたとします。つまり複利です。30年後、いくらになっているとおもいますか?なんと2億3,700万円!つまり2億3,700万円を年率20%で割り引くと、100万円ということになります。数字のマジックではないんですよ。

ほんとうにこうなるんですよ。 以上、臨時増刊号でした。僕、最近忍耐強くなった。歳のせいかな?

2004年6月15日 板倉雄一郎

今日の数字占い 3302 , 4680 , 4915 , 4751





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