板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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SMU 第101号「夏休み」

読者の皆様、大変ご無沙汰しております。

そろそろ僕の夏休みも終わりに近づいてきております。近づいてきているのであって、まだまだ続きます。ごめんなさい。

この夏休みでは、ヨーロッパ各国、主に南欧数カ国の旅・・・・成田からANAのビジネスクラス・フルフラットシートでロンドン・ヒースローに入り、レンタカーを借りて、イギリスのボートビルダーを訪問、ボート試乗。

空路フランスはニースに飛び、レンタカーでニース→カンヌ→モンテカルロなどなど、コートダジュールを特別目的も無くうろうろ。

モンテカルロでは、ルーレットが絶好調で、手元資金100万円が2日で7,500万円!調子に乗って、60フィートの大型モーターヨットをレンタル、地中海に出て、コルシカ島にて船中泊。

そのままギリシャまで航行して、アテネ・オリンピックの開会式を観覧。

疲れた頃に、帰国という夏休み・・・・・だったら良かったな。

本当は、朝夕、ワンコのお散歩で汗をかき、午前中の早い時間から、「暑さ」をイイワケにビールを飲み、「せっかくだから」というイイワケで、自宅のTVでオリンピック観覧。

暇になったら、書きたいことや、やりたい仕事があっても、絶対にパソコンに向かわず、本を読んだり、買い物をしたりと、「無理やり夏休み」を実施していたわけでございます。

SMU第100号へのコメントで、「ずいぶん長い夏休みですね」というのを頂きました。

確かに、平均的な日本人の夏休み(学生を除く)と比較すれば、僕の夏休みは長いです。しかし、ヨーロッパに比べれば、全然長くありません。そもそも日本人は働きすぎです。

色々理由はあると思いますが、大きな理由は、そもそも日本人の労働生産効率が諸外国に比べて非常に低いという点です。労働集約産業の場合、稼ぎを増やすには一人当たりの労働時間を増やすか、労働者を増やすしかありません。

しかしどちらの場合も、労働効率に変化はありませんから、増収と共にコスト増をもたらします。これを解決するために、生産工程の機械化、そしてIT化が勧められてきたわけですよね。しかし良く周囲を見回して考えてみて欲しいのです。この10年、いわゆるITは(道具としての範囲で)社会に深く浸透したことは議論を待ちません。

IT化がもたらす一つの大きな利得として、「人や書類の移動」を合理化できるという点がありますよね。くどくど説明する必要は無いと思います。

でもね、社会が(道具としての)ITを導入し・・・・都心の交通渋滞は減りましたか?

(道路はこの10年でたくさん造られてきましたよね)

通勤ラッシュは緩和されましたか?

(路線もたくさん作られてきましたよね)

交通費は削減できましたか?いずれも、「NO」ですよね。はたまた「モバイル」というのは、「場所に制限されない」という利得があるはずですよね。でもね、社会がモバイル化(という、単に道具が普及しただけの話)した結果、オフィスの面積が減りましたか?避暑地で仕事してますか?時間に余裕ができましたか?これまた、いずれも「NO」ですよね。

不思議ですね。ITの効果は一体「生活の」どこに効果が現れているんでしょうか? と、僕は素朴に疑問を持つわけです。

ならば自分がやってみようということで、僕自身は完全モバイルオフィス化を実現しています。道具としては、ケータイとラップトップだけです。

でも、道具だけそろえても何も始まりませんから・・・「書類を送る」(地理的な場所を特定しなければならない)といわれれば、「メールにしてください」と強く要望しますし。「一度打ち合わせを」といわれれば、(一度ぐらいは会いますが)「メールにしてください」と強く要望しますし。(講演などで)「ポスターの写真を撮りたいので、送ってください」といわれれば、「WEBにアップロードしてありますから、ダウンロードして使ってください」と言います。

つまり、道具に対する投資効率を上げるように、普段から努力しているというわけで、ここが非常に重要なわけですよ。

「板倉の場合は、それで済むからいいけどさ」などと思うあなた・・・実際にやってみてから、そういうことは判断してくださいね。こんな僕でも、以上のような姿勢によって、いくぶんか機会損失している部分もあるとは思います。

機会損失は大嫌いですが、それ以上に、せこせこ稼ぐことはもっと嫌いです。いろんな会社や、いろんな仕事の人を見てきましたが、「それって本当に必要なの?」と思う行動をタックさん見つけることができるんです。

聞くところによると、いわゆる「営業マン」の労働時間の40%は、移動が占めているそうです。実際に客に会わなければ売れないような商品が、いかにたくさん世の中にあるかってことですね。なんで、こんな効率の悪い社会なの? 最も重要な問題は「考える時間」が無いということです。考える時間によって、「あれっ、これでいいのかなぁ?」とか、「この部分、無駄だよなぁ」とか、「思いつく」ことが大切です。

何事も、発見が無ければ、実行できませんからね。考える時間が、疑問を生み、疑問が解決策を生み、道具と姿勢がそれを実現します。

僕は、

1、8月は、31日間、国民の休日にすればいいと本気で思っています。もちろん経済効率も含めてです。
2、お中元、お歳暮など、単なる物品の送受など止めてしまえば良いと本気で思っています。
3、「会社にはオフィスありき」という姿勢は、すなわち労働効率を悪化させるだけだと本気で思っています。
4、ほとんどの会議は、書類のやり取りで十分可能だと本気で思っています。
5、ダラダラと仕事(と本人や組織が思っているに過ぎない、本来は益につながらない行為)を続けるより、メリハリを付ける方が効率は高まります。などなどなど。 あのですねぇ、収入と労働時間・・・これ間違いなく正比例していませんからね。昔の人は良いこと言いましたよね・・・「貧乏暇なし」実はこれ、「暇を作れないから、貧乏」という意味なのですよ。

暇な時間を作れれば、本当に必要な人とゆっくり時間を過ごすことが可能になりますよ。それが本当の人間関係ってもんでしょ。

2004年8月21日 板倉雄一郎





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