板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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SMU 第144号「素人と玄人」

本当に申し訳ない。 今回のSMUも、冒頭はセミナー話題です。ごめんなさい。 本日(11月29日)は、株式会社スペースキー様主催「実践・企業価値評価シリーズ」セミナーの最終回でした。 正直、うれしすぎて、泣けてきました。 本日のセミナーでの僕の第一声は、こうでした・・・ 「今日は、まず、皆さんに宿題の発表(吉野家D&Cバリュエーション)を行っていただき、その後にプロによる同企業のヴァリュエーションを披露します。」 まあ、正直なところ、「やってみてください、後でプロとの差を思い知ることになりますよ。」とはちょっと敵対的過ぎますが、内心そう思っていました。 で、彼らのプレゼンテーションが始まりました。 パワーポイントによる、外食産業分析、有価証券報告書のエッセンスの抜き出し、過去の業績分析、WACCの推計、将来業績予測のためのシナリオ、そしてエクセルによるバリュエーション結果と結論としての「BUY or SELL」。 「お・み・ご・と」の一言です。 プレゼンテーションの仕方、プレゼンテーション資料の見栄え、そして学習成果をダイレクトに表現した結論は、「プロ」の評価と彼らの評価の差は、(細部における問題は多々あったのは事実ですが)細部にとどまったわけです。 その後、プロによるヴァリュエーションを実演しました。βの違い(これは、受講生にヒストリカルβの入手が出来なかったので仕方ないですが)よってWACCの違い、そして作業時間の圧倒的な差は、確かにありましたが、結論に違いはありませんでした。 すばらしい! その後の懇親会では、受講生が講師(僕のこと)に、講師が受講生に、受講生同士の出会いにと、それれぞれがそれぞれに感謝し、久しぶりにおいしいお酒を頂きました。 受講生の皆さん、本当にありがとうございました。 ということで、泣いてばかりはいられません。 まずは、一両日中に、受講生の成果を(受講生も、計算式すべてを公表することを「もったいない」と思っている関係で)PDFファイルにて、さらに受講生同士での会話「メーリングリスト」の一部を、卒業生の感想として、原文のままこのWEB上で公開することになります。 受講しようかどうしようか迷っている方は、是非ダウンロードしてみてみてくださいね。 楽しみにしていてください! ところで、話は「新刊本」に移ります。 帰宅後、僕の部屋には、アマゾンドットコムより、新刊本が届いていました。 「企業価値評価(実践編)Valuation in Practice」鈴木一功著、ダイヤモンド社です。 この本は、当事務所のセミナーの教材として、これまでご紹介してきたマッキンゼー&カンパニーによる「企業価値評価(Valuation)」の実践編として、新たに出版された本です。 原本がどちらかというと文章が多いのに比べ、この新刊は「実務者向け」ということだけあって、計算シートとその解説、および日本の会計基準への調整がベースになっています。さらにヴァリュエーションの全過程を20のステップに分解して解説しています。 まだ、ざっと目を通しただけですが、その感想は「非常によく出来ている・・・がんばりましたね!」です。 Valuationとその実践編であるこの新書の両方を読んで、それでも、腹のそこまで理解が出来ないのであれば、是非当事務所のセミナーに参加してください。 早速セミナーの教材として、「実践・企業価値評価シリーズ」セミナー案内ページにて、参考図書の一つとして紹介させていただくことになりました。 それでは、本日の本題「素人と玄人の違いに変化が・・・」についてです。 ネットの普及は、オンライン証券会社を生み、オンライン証券会社が、個人投資家を増加させました。 個人投資家の増加は、企業にWEBによるIRを迫り、企業もこれに答えました。 「気の効いた企業」は、(まだそんなに多いとは思いませんが)Valuattionを前提にした(と予測される)資料をWEBに掲載するほどです。(出来れば、PDFじゃなくて、エクセルシートまたはCSVでの配布を強く希望しますよ、上場企業のIR担当者様) また、先のような本が一般に出回り、僕のようなものが「一般向けに」セミナーを開く始末です(笑)。 結果、投資情報、企業情報は、それまで「コストの面から玄人でしか手に入れることが出来ない情報」であったのが、今では、「素人と玄人による情報格差が縮小」し、素人からスタートしても、努力と経験次第で玄人と「ほぼ同程度の投資判断」ができるようになりました。 個人投資家による情報収集と、個人投資家によるValuationは、純粋に自らのために行うことが出来るので、もしかしたら、その個人投資家にとっては、情報に多少バイアスのかかったアナリスト発表の情報より、「使える」場合すらありえるのではないでしょうか? ネットの普及は、産業革命より、活版印刷の発明と普及による社会現象に似ているとは、いつかどこかでSMUにも書いたように、「経済規模に無関係な情報発信が可能になった」という効果ばかりではなく、「素人による努力と経験次第」で、素人と玄人の境目を極めて小さくする効果を持つというわけです。 ただし、両手を挙げて「ばんざぁ〜い!」ということでも無いわけです。しつこく「努力と経験により」を繰り返しているように、「資金の違いより、努力と経験の差が、個人の経済を含めた生活に、これまで以上に影響を及ぼす」ということであって、努力と経験なくしては、その効果を享受できません。 「身を粉にして働く」や「不眠不休で働く」ということが、ダイレクトに個人の経済や生活を豊かにする時代は、もう既に遠い昔の歴史的事実として、しまわれていくのでしょう。 今日は、こんなところで。 板倉雄一郎 2004年11月30日



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