板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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SMU 第9号「すばらしい人生?」

またずいぶんとエッセイをお休みしてしまいました。
時間的に決して忙しくは無いのですが、このところさまざまなプロジェクトを 同時並行で抱えているせいで、頭の中が忙しいというわけです。講演&取材&メディア出演が季節的に減少したとは言え、顧問先が増え、投資先の 新規プロジェクトに深く関わるようになり、さらには中国がらみのビジネスま で・・・そして、やっとこさ自らの欲求に基づいて地域活性システムの実現に向けてと、まあいろいろあるわけです。

「弁護士ってすごいな」などと、記憶力と案件の切り替えを難なくこなす彼ら の能力を少し分けてもらいたいぐらいです。トホホ。



<第9号>すばらしい人生?

A氏(幼少の頃からフロリダに住み、家業を手伝いつつ、趣味の釣りに勤しむ 若者)とB氏(有名大学卒業後、ニューヨークのインベストメントバンクに勤め、 現在は大手保険会社の外交員を務める、いわゆるやり手の保険営業マン)の 会話。
B氏が保険外交のために、金持ちが別荘を所有するフロリダに来たとき、昼間 から釣りをしているA氏を見つけて、話しかけた。

B氏「君は、若いのに、昼間から釣りなんかしていて大丈夫なのか?」
A氏「君こそ、このくそ暑いのに、スーツなんか着込んで何してるんだい?」
B氏「そりゃ、仕事さ、当たり前だろ」
A氏「へぇ〜、そんなに一生懸命仕事して、どうするんだい?」
B氏「若いうちにたくさん稼ぐんだよ」
A氏「なるほどねぇ〜若いうちにたくさん稼いで、それでどうするんだい?」
B氏「そうだなぁ、40歳ぐらいまでにはフロリダに家でも買って過ごすんだよ」
A氏「へぇ〜このフロリダに家を買うのねぇ〜ところで、家買って何するんだい?」
B氏「・・・・そうだなぁ・・・・釣りかなぁ〜」

B氏は、一見、人生設計を持ち、その達成のために確実に毎日努力している。 しかし、この問答にあるように、そのゴールがゆっくり釣りを楽しむことであれば、 特に贅沢をしない限り、今から楽しめることだとA氏は言う。深読みすれば、社 会の常識や大衆の価値観に支配され独自の価値観を見出していないB氏に対 して、A氏が、人生の目的や価値観を教えているようにも思える。

そもそも、何かを手に入れるために人生があるとすれば、人生はきっとつまらない ことの連続になってしまうと僕は思うようになった。何かを手に入れる事を目標にす るのはかまわないが、その過程を楽しめるかどうかが人生の醍醐味だと思う。
作家として成功した人も、科学者として業績を残した人も、彼らがそれぞれの人生 を語るとき、「それが楽しかったから」という表現をよく見聞きする。もっぱらB氏のよ うな人生を送ってきて大失敗した僕は、B氏のような人生を来年以降も送るとしても、 やっていること自体を楽しめる事を心がけたいと思う次第である。

板倉雄一郎 2002年11月27日





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