板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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SMU 第163号「本業?」

年が明けてからというもの、友人知人および仕事上の関係者などから、「何かやりましょうよ」というお話しを頂く機会が、どういうわけか多いのです。
それ自体は、非常にありがたいことです。僕に何らかの価値を見出していただいているわけですから、ありがたいわけです。
ところが、その言葉の節々に、「先生なんかやってないでさぁ」といった雰囲気を感じるのです。
つまり、「セミナーとかじゃなくて、生々しい実業の世界に戻ってきて、活躍しろよ」ということなのだろうと思うのですが、ふむ・・・。

まず、当たり前のコンコンチキなことですが、バリュエーション・セミナーってのは、少なくとも僕の「本業」ではないわけです。
いつも書いていることですが、教えることが本業であったなら、教わる人がかわいそうです。
そう「童貞君のアダルトビデオ評価」になっちゃいますからね。
では、本業は何だ? と聞かれると、それはそれで困るのです。
世間一般的が分類するところの業種・業態で表現したら、執筆、企業コンサル、ベンチャーキャピタル経営、講演活動、個人投資など、あれもこれもになってしまって、分類不能です。
強いて言えば「そのとき面白そうなことをする業」ってことで納得していただければ、そういうことになります。

一方、このWEBのエッセイは、現在、セミナーの話題がほとんどですから、その点で、セミナー事業が本業と思われてしまうのかもしれません。
これは、単に、セミナーの告知やレポートなどを、このWEBでしか実施していないということであって、僕のすべての活動がセミナーということとは全然違うわけですよ。
セミナー以外の活動に関しては、「書けない事(=広く情報を公開できない事)」が多いわけで、よって、セミナー以外の活動に関しては、そのコンテンツがこのWEB上では、なくなっちゃうわけです。

「何かやりましょうよ」と言われても、言われなくても、以下の条件が整えば、僕は積極的に活動します。
条件1:僕自身が「(単に金が儲かるということも含めて)面白そう!」と思うこと。
条件2:僕がそのプロジェクトなり事業なりに、自信を持って価値提供を行えること。
条件3:価値提供分以上の対価を手に入れられること。
です。
特に、ベンチャーの顧問など、「エネルギー溢れる起業家の支援」なんか非常に興味あるわけです。おそらく僕が最もその固有の価値提供を行える分野ですからね。
(まあ、こう書くから、「そうじゃなくて、板倉が事業を始めろよ!」となるわけでしょうケレド。)
もちろん、その対価は、それなりに頂きますよ。ビジネスですから。
ベンチャーの場合、キャッシュフローがキッつい場合が多いですから(というより、きっついぐらいキャッシュを遊ばせないことがベンチャーなのですが)、必要経費分以外には、(株主のコストに相当する)ストック・オプションを、しっかり、きっちり、どっさり(笑)頂きます。
現在は、数社にとどまりますが、これは僕が仕事を制限しているのではなくて、単に、あまりお呼びがかからないだけなのです・・・(どうしてかしら・・・そもそも営業活動していませんからね・・・それとも高いと思われているのかしら・・・そんなこと無いのですけど・・・それとも「うちの会社まだ小さいから」とか思っちゃうのかしら・・・小さいうちに、スタートアップのうちにコンサル受けることが大切なのですケレド。)

一方、僕自身が「大規模ないわゆる会社組織を組成する」という可能性は、非常に低いです。
なぜなら、「互いに仕事上の排他的な契約関係」なんてものが、価値創造の前提ではありえないと思っているからです。
その人が持つ様々な能力を、それぞれに最も効率よく、お金や楽しみに変換できる組織に、複数所属し、その付加価値提供の度合いに応じて収益配分を得ることが合理的。と考えるからです。
(不思議と、弁護士、会計士、などは、これが定着しているのですけどね)
僕自身も、「うちだけで仕事してくれ」といわれるお誘いには、最初からお断りしますし、同様に、僕がお手伝いをお願いする他人に対しても、「報酬を保証するから僕の仕事だけしてくれ」とは全く思いません。
専業でやるということは、一見効率的に見えますが、様々な仕事の側面を持っているからこそ、一つの仕事では得られない情報や経験を持つことができるわけで、それは複数の仕事に相互に価値のフィードバックができるわけです。よって専業より効率的であり、合理的なのです。
(あの?、機密保持はしっかり守りますし、弁護士同様コンフリクトには注意しております。)

ある個人の能力を100%引き出せる組織なんてものは、この世に存在しませんからね。
専業というのは、社会全体の効率を低下させるだけのものです。間違いないです。
ヨーロッパで、いわば後ろ向きの「ワーキング・シェア」なるものが定着しつつあるようですが、僕のこの考え方(「バリュー・シェア」でも「タレント・シェア」でも何でもいいですが)は、積極的な人間活動の合理的な方法だと思っておりますです。
(え?と、ちなみに、男女間においても、全く同様に思っております。男女間の場合、どういうわけか肉体関係を排他的にすることによって成立する社会幻想としての価値が、胸を張って歩きすぎるので、やりにくいわけですケレド。減るモノじゃないのにねぇ。ただ、礼儀作法・・・たとえば、「そのとき」のヘルメット装着だとか、以上の考え方を無理に納得させないことなどは、ちゃんと守りましょうね。)

というわけで、僕の一つの仕事、執筆についてのご報告です。
昨年の夏、このWEBの読者に好評を頂いた「おりこうさん と おばかさん の経済学」(SMU第70号にちょっとだけ書いてあります)については、出版社の側から出版依頼があったにもかかわらず、いろいろあって頓挫しております。
出版社としては、「板倉のブランドと違いすぎる」という原因だそうですが、僕からしてみると、売り手の勝手な思い込みに過ぎないと思うのですケレド。
ということで、あと一社、交渉予定がありますので、もうしばらくお待ちくださいね。
それともめんどうだからWEB出版にでも挑戦してみましょうかねぇ???お金払ってくれるかなぁ?それとコピープロテクトどうしましょう?

本日は、こんなところで。

PS:「ケレド」とカタカナ表記にするの、勝手に気に入っているのです。
名古屋のクラブのオネーサンがくれるメールの表現にこの「ケレド」があって、なんだか気に入っているのです。
「名古屋は、日本三大ブスの産地」と聞きますが、そんなこと全然無いですよ。
かなり気に入ってます。ふふふ。

2005年1月13日 板倉雄一郎





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