板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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SMU 第24号「開き直りの美しさ」

「社長失格の幸福論」がそろそろ書店に並び始めている。(はずだ) ちょいとくさいタイトルとは思うけど、 どんな過去があっても、どんな問題があっても、幸せの瞬間を見つけることができるし、 それが出来なければ、永遠に幸せはやってこないと思う。 そんなこんなを、自分の倒産からの5年間の自伝に載せて書いているわけでございます。 良かったら、手にとって、そして、是非、買ってくださいまし。 で、さらに良かったら、感想などお寄せくださいませ。

ということなんだけど、ふと、僕はなぜ文章を書くのか?と考えてみた。

正直、ビジネスとしては、あまり効率が良くない。著者の印税は本の定価の10%。 だから、10万部売れても、入ってくるのは、1千数百万円。
1千万円入るならいいじゃないか!っと思う人も居るかもしれないが、10万部という数字は、本が売れない昨今、ビジネス書としては、かなり難しい数字なのだ。

その昔、悩んだり、苦しんだり、はたまた欲をかいたりした時、 常に、その解決方法を本に求めてきて、何らかのヒントを頂いてきた。

実は僕、年に10冊も本を読まない。 常に新刊のチェックをしているわけでもなければ、この世にどんな本があるのかも良く知らない。

本屋に行っても、普段は雑誌のコーナーにしか行かない。(最近は、自分の本のチェックもするけど) そんな僕だが、ビジネスに、人生に煮詰まってしまったとき、 なぜだか本屋のそれも単行本のコーナーに足を運ぶ。

数多ある書籍の中から、不思議とその時の僕にピッタシの本を見つけることが出来た。そして、読書後、その本の著者やその本自体が、その分野では名著であることを知ることが多かった。 ビジネスでその本質を得られた最初の本は「現代の経営」ピーター・ドラッガー著であった。

お恥ずかしい話だが、六本木の青山ブックセンターで、なんとなく手に取った40年も前に書かれたこの本を読んではじめて、ピータードラッガーを知ったという具合である。 もちろん、その時点でのビジネスの悩みはこの本によって解決できた。

これは、一例だが、目的を持って本屋に行くと本のほうから話しかけてくる現象が少なからずある。 「お前の悩みを解決するのは、僕ちんでぇ~す!」っと目に飛び込んでくるわけだ。

そんな本をいつかは書いてみたい。

プロモーションや話題による売れ行きよりも、本のほうから話しかけるような、そんな本を書いてみたい。 そして、誰かの何かを解決することが出来たら、最高じゃないか。 そう思うから、文章を書いているというわけだ。

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<第24号>開き直りの美しさ

たとえば、自慢話をすることによる満足感が目的であれば、
「自慢話なんだけどね」と始めたほうが、美しいと思う。

たとえば、同意を求めたいのなら、「悩み事があるんだけど」と切り出すより、
「自信を持たせて欲しいのだけど」とはじめた方が、美しいと思う。

たとえば、金が欲しいのなら、「御社のために」などと切り出すより、
「僕は金を稼ぎたいのだけれど」とはじめた方が、美しいと思う。

たとえば、「金だけじゃない」と、稼ぐことから逃げるより、
「金が欲しいが、なかなか思うようにならない」と自白した方が、美しいと思う。

たとえば男女間において、やりたいなら、「やりたい」と告げた方が
(成否は別にして)美しいと思う。

たとえば、「もうだめだな」と思っているのなら、
こちらから「やめようよ」と切り出した方が、美しいと思う。

皆が、大義名分による利益を覚えてしまったから、
以上のような美しさを忘れてしまったのだろう。

案外、開き直れないのは、その結果を恐れてのことなのだろう。
その結果ってのは、少なくとも僕の場合、割と良いのだけどな。

2003年5月2日 板倉雄一郎





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