昨日から、当事務所のパートナーとともに、一つの投資理論について議論を展開しています。
現時点では、「それが新しいのか?」、「ヒストリカルに検証が可能か?」、「検証の結果、理論を証明できるのか?=検証の労力は報われるのか?」、という段階ではあります。
(天然モノの僕としては、それが新しいのか、そうでないのかが全然わかりましぇん! でも、MBAホルダーのパートナーが言うには、「教わったことが無い」ということですけど。)
しかし、おおよそ、この(たぶん)新しい理論が正しかった場合、この理論から、以下のようにあらゆることが検証できます。
1、 日本が高度経済成長を成し遂げることが出来た理由。
2、 ヒストリカルβによるWACC算出では、(仮に将来キャッシュフローの予測が正しかったとしても)理論株価と時価の差を解決できない理由。
3、 ボラティリティーリスクによってごまかさない真の企業価値の算出。
そして、最も重要なこの理論の解の一つは、表題にあるとおり
「アホな株主が、企業をだめにする」
というものです。
「何を書いているのか、さっぱりわからん」という方が、多ければ多いほど、この理論の「新しさ」の証明になるので、「あ〜なるほどねぇ、そうねぇ」なんて思っていただかないほうがよろしいです(笑)
早速本題「アホな株主が企業をだめにする」
最近の日本企業の多くは、IRに力を入れています。
力を入れる対象は、主に個人投資家というわけです。
まあ、これまでの履歴を考えれば、誰でもわかることですが、企業が一定の価値創造を行う過程で、資本構成の見直しを迫られ、株式持合いを解消し、その結果「他の誰かの金」が必要になり、その矛先が個人投資家に向いたというわけですよね。
株式持合いというのは、すなわち会計上の投下資本より、実質投下資本が小さいということに他なりません。投下資本が少ないということは、仮に当該企業のROIC-WACCスプレッドがプラスであっても、投下資本が少ないわけですから、経済的付加価値=価値創造は、小さくなるわけです。
ところが一方で、この場合の投下資本が少なくなる理由は、資本の「行って来い」が原因で、実質投下資本が見た目より小さいわけですから、当該企業のROICが一定でも、WACCは実質低下します。
なぜなら、元々自分のお金(=もともと相手のお金)が、相手の企業(自分の企業)の事業用投下資本となっていて、結果「行って来い」の関係から、自ずと、投資した金に対する「期待収益率」が低下するからです。
株式の期待収益率が低下すれば、WACCは当然低下し、結果、スプレッドは大きくなります。
つまり、投資資本が少ない分以上に、スプレッドが広がるとすれば、企業価値創造は容易になります。
容易というのは、当該企業のROICが多少低くても、WACCがそれ以上に低いので、スプレッドがプラスになるという意味であって、これはまた日本企業のROICが他国に比べて低いということの一つの原因ともいえます。
面倒な理屈は、後に発表予定のnewCAPM(資本コストに関する「新しい=というより現実的」な考え方)に譲るとして、現在の企業について考えて見ましょう。
先にも書いたように、持ち合い解消後の日本企業は、個人投資家にその分を補ってもらおうとしているわけです。
ですが、持合の場合の「株式期待収益率」と、個人投資家における「株式期待収益率」は、圧倒的に違います。個人投資家の期待収益率のほうが、持合の場合より、はるかに高いというわけです。
つまり個人投資家の株式保有比率が高ければ高いほど、当該企業の資本コストは上昇するというわけです。その分、理論的には株価は上昇しにくくなります。
(ほら、こんなことCAPMでは、全然考慮していないでしょ?・・・理論として展開する場合には、個人投資家という定義はしませんけれどね。)
以上から、「株主がアホ」=「個人投資家」、つまりかなり正直に書いてしまいますが、経営を知らず、企業のオペレーションの真の意味を理解することが出来ないアホな個人投資家の保有比率が高い企業の場合、当該企業の資本コストは、現在の理論では解決できないほど上昇してしまうということです。
(ちょっと、中飛ばしになってしまっていますが・・・今日は、ちと忙しいので、ご勘弁を)
つまり全うな(経営を理解し、企業のオペレーションが企業価値にどのようなインパクトを及ぼすのかを知っている)株主に支えられた企業は、価値創造をスムーズにやってのけるばかりではなく、同時に資本コストも低くなるというわけです。
最近バフェット話が多いですが(笑)、バークシャーハザウェイは、まさにこの全うな株主に支えられている顕著な例です。皆さんご存知ですよね?
この会社、発行済み株式数の割には、出来高が圧倒的に少ない企業です。
つまり株主が同社の株式をずうっと持ったままというわけです。
なぜか?
「同社のパフォーマンスが長年にわたって非常に高いから」というのは、過程を見ずに結果を見ているに過ぎない結論です。
では、その過程とは・・・バフェット氏による「株主の教育」ではないかと、僕は思うのです。
年次報告の際、オマハのド田舎に、多くの株主が集まります。バフェット自身の話を聞くためにです。
それほど、彼は、人望があるというわけです。
しかし僕は、彼の成功を、単に「企業価値を見抜く洞察力」にあるとは、思っていません。
僕なりの、彼の成功の要因として考えられるのは、「株主の教育」によって、「全うな株主だけが集まっている」ということではないかと思う次第です。
現在の日本企業の、個人投資家に「こびる」IRは、その先どうなるものかと・・・ちょっと心配です。
最後に、ある投資銀行によるとバークシャーのβは、A株、B株とも、およそ0.6弱です。
実質は、もっと小さいでしょう。
(おそらく、バフェット自身の考えでは、バークシャーの場合、「β=0.0」ということなのでしょう。)
ごく一部しかない浮動株の取引によって、株価が動いてしまうから、感覚値より大きめのβが得られてしまうのです。
マーケットキャップ(時価総額)の不思議は、このように「ごく一部の分かっていない株主」の取引で、全体をカウントしてしまうことです。
そして、それをベースに算出したヒストリカルβには、大した意味が無いということです。
(だって、単一商品でやっている吉野家と、多くの価値創造を長年続けている企業を所有するバークシャーで、βに大きな差が無いんですからねぇ。これを「βは馬鹿馬鹿しい」といわずして、なんと言うのでしょうか?)
PS:
あのー、以上のことがさっぱりわからないから、「セミナーは僕にとっては難しそうだなぁ」なんて思わないでくださいね。セミナーを集中して受講すれば、以上のことがわかるようになりますから。
板倉雄一郎 2005年1月21日




















