板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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SMU 第182号「ポジショントーク」

読者の皆さんは何かを学習するとき、書籍類や(授業を含めた)セミナーの類、そして最近ではネット上のコンテンツを頼りにされているのではないでしょうか。

ところで、何を基準として、それらコンテンツを選択し、排除し、受け入れているのでしょうか?

書籍にせよ、セミナーにせよ、ましてやネットの場合、「この話(理論や主張など)本当だろうか?」と心配になることは無いでしょうか?

「確かに、心配です」と答えていただかないと、先に進めませんし、そもそも、コンテンツの信頼性への心配が無いとなれば「振り込め詐欺」に引っかかっちゃうということですからね。

僕の場合は、当該コンテンツの提供者の「立場」を、信頼性確認のための重要な要素にしています。「立場」といっても、様々ですよね。

そもそも、「完全にニュートラルな立場」など、あるはずも無く、すべての表現者は、何らかの立場を持っているわけです。(もちろん、僕自身も、立場を持っています。後述)

<たとえばシリーズ1:証券アナリスト>

投資銀行に所属するアナリストは、その報酬を彼が所属する投資銀行から頂いているわけで、その投資銀行の収入は、顧客の(多くの場合)上場企業から得ているわけですよね。

ということは、アナリストの発表する内容は、(その程度がどうであるかは知りませんし、具体的な指示があるかどうかも知りませんが)間違いなく、何らかの顧客からのバイアスを得ていると考える方が合理的ですよね。

だって、顧客企業を「Strong Sell」なんてレポート出せないでしょ(笑)。
そんなことしたら、首になっちゃいますよ。

<たとえばシリーズ2:オンライン証券会社主催、株式投資セミナー(これ2回目の登場)>

オンライン証券会社の収入は、主に顧客の売買手数料です。

ですから、彼らとしては、可能な限り多くのトレードをして欲しいわけです。事実、「売り買いの手法」セミナーを、ザラ場中に行ったりしています。

本来、「株式投資セミナー」とは、それで儲けるための方法を教えてしかるべきですから、その基本であるところの、「支払った株価以上の価値を手に入れる方法」を教えるべきですよね。

つまり、価値評価方法を教えるべきなのです。しかし、彼らの顧客が、価値計算ができるようになっちゃうと、理論的には、トレード回数は減っちゃうんですよね。だから、彼らはそれを教えるわけありません。少なくとも無料では。

キリがないので「たとえばシリーズ」はこれで終わりにするとして、要するに「表現者の立場」をちゃんと確認することが大切だというわけです。

最近流行のブログ(このWEBもソフトウェアの機能としてはブログですが)などは、特に「その表現者は、どんなことで、誰から報酬を得ているのか?」については、常に意識すべきですよね。

僕の場合の立場ですか?

ここまで書いた以上、僕も正直に書きますよ。何度も書いているように、少なくともセミナーでは・・・

1、セミナー受講料としての収益を得たい。

まあ、経済活動ですから、当たり前です。
こういうことを、最初に正直に言わず、理念だの、ヴィジョンだの言っているのは、大方怪しいと思いますよ。

2、共通言語を持つ仲間を集めたい。

「共通の価値観」ではなく、あくまで「共通の言語」です。よって僕と同じような解を得る人間を育てるなんてつもりは、100%ありません。

価値観は、人それぞれです。だって、共通言語を持った仲間と、喧々諤々議論をしたりするのって、楽しいでしょ?そして互いに尊重できる相手と意見の相違が生じたとしても、「我々は、互いに意見が相違しているということに、合意する。」という合意が得られれば十分じゃないですか。

3、好き嫌い

確かに僕は「コマーシャルバンク」は、好きではありませんし、できれば決済機能以外でのお付き合いをしたくありません(笑)。

ですが、僕ごときが何か騒いだところで、彼らがどうにかなるわけでもありませんし、そもそも、彼らにどうにか(悪い事態に)なって欲しいとも思っていません。(っていうか、どうでもいいですけどね。)

ただし、日本国民のフィナンシャルリテラシーが高まれば、インチキ経営をしている金融機関は自ずと倒れていくとは思っています。断っておきますが、彼らを倒すために、日本人のフィナンシャルリテラシーを高めたいというわけでは、ありませんからね。

4、褒めてもらいたい、感謝されたい。

ちょいと、こっぱずかしい話しですが(笑)、僕、おだてに弱いのですよ。

だから、僕が(できれば)年老いて死ぬとき、「板倉さんに会えてよかった」と思っていただける方が、たくさんいて欲しいのです。

僕は、これまでの人生で、多くの方に損害を与えたり、迷惑をかけたりして生きてきました。会計上は、それらが帳消しにはなりましたが、「心の資本コスト」として、常に意識しています。

5、顧問活動

ちなみに、NTTコミュニケーションズという企業のアドバイザー(ただし、同社全体に対するアドバイザーではなく、同社のある部門のアドバイザー)なる立場も、確かにあります。(他にも、いくつか顧問を務めています。)

ですが、そもそも頂いている報酬は、僕の全収入に占める割合が少ないですから(あら、こんなこと書いちゃっていいのかなぁ(笑))、彼らに対して、僕はいつも「(自分が正しいと思った範囲で)言いたい放題」です。それでクビになっても、全然かまいません。

もし、「言いたい放題言いやがって、気に入らない」という企業なら、こっちからお断りです。(あのぉ~、断っておきますが、彼らとは、今のところ、うまく行っていますので、勘違いしないでくださいね。あくまで、企業のアドバイザー活動によるバイアスは、限りなく小さいと書きたいだけです。)

6、ベンチャーキャピタル経営

これは言わずもがな、未公開企業ですから、セミナーで「この会社買ってください」なんて話はしませんよ。そもそも一般の人は、投資できませんからね。
その上、僕のポートフォリオの(IPOやM&Aなどの)ディールを、具体的に話してしまったら、それこそインサイダー取引を誘導することになっちゃいますからね。

僕は、最低限のルールは守ります。

7、生活のブレークイーブン

ここが、僕の、一番の「自慢(?)」なのですが、とにかく経済的に身軽です。生活するためのブレークイーブンが極めて低いのです。

絶対額ですかぁ・・・それは、勘弁してくださいよ。

でも、皆さんの予想を遥かに下回るブレークイーブンポイントですよ(笑)。これ、表現の中立性を得るために、極めて大切な要素なのですよ。いざとなれば、新聞配達でもすれば、何とかなるのです(笑)。

ということで、今日はずいぶんと正直に書いちゃいましたね。
関係者の皆様、大変失礼いたしました。
これからもよろしくです。

2005年2月4日 板倉雄一郎

PS:
今回の合宿セミナー(2月19~20日実施)の募集は好調で、すでに最低執行人数を上回っておりますので、執行確定です。
募集の締め切りは、2月14日(バレンタインデー)ですけど、お早めに。





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