板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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SMU 第150号「税と国債・・国民負担」

また少しエッセイをサボってしまいました。
いやぁ?年末モードに気分はなりつつあるという、怠慢です。ごめんなさい。

まずは、セミナー開催日程についてですが、これ今月19日に日程を決定する予定です。
決定次第この場でアナウンスいたしますが、どれほどの受講生に集まっていただけるか? とても心配なのですよ・・・ですから、ご面倒かと思いますが、受講にご興味のある方は、是非「希望日程」で投稿してくださいね。よろしくです。(場所とか、決められないのですよ。トホホ)

昨日「テレビタックル」という番組を観ていました。
あいかわらず、アホな番組ですが、取り上げていたのは「国の借金」、「定率減税の段階的廃止」、「消費税の引き上げ」などについてです。
面白い。
何が面白いかって、それは、それ、出演者それぞれの(僕が予想するところの彼らの目論見は割愛しますが)その思惑が、どのような言葉と態度で表現されるのかってところが面白い。

それはそうとして、この番組、思惑としてやっているのか、それとも本質がわからないプロデューサーがそうしたのかは、定かではありませんが、「税率」、「国債残高」、「消費税」を、それぞれ個別のコーナーで取り上げている点が、面白い。というかアホです。

この税と国債は、本質的には、どちらも国民負担という意味で「全く同じ」ものです。
国の支出が一定だと仮定すれば、プライマリーバランスがマイナスである以上、増税できなければ国債を発行するしかありません。
国債は、すなわち我々日本国民が(金融機関を経由したり、個人向け国債のように直接)そのほとんどを引き受けているわけです。
つまり国の借金を返済するということは、国民からの税金で、国民からの借金を返済するということですし、国債費(利払いや借り換え)についても同様に、国民からの税金で、国民に利払いしているというわけです。笑っちゃいますよね。
ですから、税と国債はカタチが違うだけで、本質的には全く同じものなのです。
別々に議論しても、何も始まりません。
(「どうせアホが観るんだから、これでいいのですよ」とやっている可能性は非常に高いです。マスメディアってのは、常に見る側をバカにしている傾向があります)

「国民負担」を税の面からだけ見て、「ヨーロッパ各国より日本の国民負担率は低い」などと馬鹿もいい加減にしろと言ってやりたくなるような発言をする出演者もいましたが、国債残高を無視してこのようなことをいうことが如何にアホであるか、お分かりいただけると思います。
GDPの2倍近い借金をしてしまった国は、近年(いや、歴史的にも)ありません。

ですから、(ハイパーインフレや国家破綻など劇的な崩壊を否定すれば)いずれヨーロッパ各国のように、消費税20%以上にするしかないわけです。
「それいやだ!」といったところで、それが出来なければ、政府は国債をさらに発行するだけです。
しつこいようですが、国債増発も増税もどっちも同じです。
フィナンシャル・リテラシーの非常に低い国民が、自分で自分の首を絞めていることに気がつかないだけですから、仕方ないですけどね。

もちろん、公務員の人件費削減や、一部の利権者の元に金が入るだけの無駄な公共事業などは、徹底的に削減すべきなど当たり前すぎて議論の余地が無く、政治家による「議論ではなく実行」あるのみです。
一方、借金だらけの国が、(これまた借金だらけの)他国の国債を購入するなんて事は、経済的にはありえないのですが、政治的には、「アメリカについていきます」ってことにしちゃったので、よほど大きなパラダイムシフトがない限り、ずうっと「アメリカの税金」を日本国民全体で支払い続けるということになります。
アメリカ合衆国という国の経済、文化、軍事力など、国力がいつまでも続くとすれば、以上は少なくとも政治的には「あり」なのかもしれませんが、いつまで続きますかねぇ・・・超大国(?)U.S.A.
この点が、最も重要なテーマということになります。

2004年12月14日 板倉雄一郎





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