板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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SMU 第52号「デイトレーダー」

株式売買手数料がネットトレーディングのおかげで、人によっては売買額に相対して事実上無料となっている。

そのこと自体は、歓迎することなのだが、そのおかげで「デイトレーダー」なる、社会に対しても、彼ら自身に対しても、まったく価値を生み出さない馬鹿げた人種が生まれている。

「投資」というのは、そもそも「カネ」に仕事をしてもらうということである。

だから、投資候補を厳選し、自分の目で見極め、その結果投資を実行し、その後監視は必要だが、基本的に投資している行為そのものがお金を生み出さなければならない。しかしどうだい「デイトレーダー」という奴らは。

彼らは、なけなしの資金を企業に投資(いや、彼らの行為は企業の一部を所有するという原理より、単に商品先物に「投機」する感覚に過ぎないのだろうが)する一方で、一分単位の相場に神経をすり減らし、わずかな収益を上げているに過ぎない。

たとえるなら、「タクシーを捕まえて、初乗り数百円を支払う代わりに、自分で運転するようなもの」ではないだろうか?彼ら自身も、彼ら自らの愚かな行為によって、彼ら自身の労働価値の還元効率を低下させ、よって生産的な価値創造に提供できるはずの労働力を社会に提供できないという結果になっている。

そんな連中は、さっさと「投機」対象を商品先物にでも移して、せいぜい商品の相場安定という社会貢献に寄与したほうが、彼ら自身と社会のためになるのではないだろうか?証券会社も企業も、個人株主の増加を歓迎しているようではあるが、彼らにフィナンシャル・インテリジェンスが無い限り、「凪」の状態から一変「嵐」になったときに、とんでもないことが起こるように思えてならない。

真っ当な経営者であれば、株主価値を最大化する行為と同時に、株主を選ばなければならないと思うのだが。

2004年4月3日 板倉雄一郎





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