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SMU 第40号「藪から棒」

「週間SPA!」のコーナーに「香ばしき人々」というのがある。
なんでも山本一郎という方が書いているらしい。
その、No.032に「板倉雄一郎」が書かれているのを発見した。

その内容は、要するに「バカな経営者によるよくある倒産劇を調子よく利用して生きている板倉は、芸人そのものだ」というような内容である。
この連載、孫正義氏だとかをはじめとする、いわゆるネット業界有名人を対象に批判を続けるものなので、たかだが僕のようなものを扱ってくれたことには、ある意味感謝する。
でもね、「たかが数百万円の欠損から資金繰りに困り・・・」とか「倒産事由とは(中略)売り上げのない時期にパーティーを主催したり、自分の住むマンションを社宅にしようとしたり(中略)勘違いベンチャー企業の(後略)」といった表現によって、彼の板倉批評は裏づけられているわけだ。
ここで書くまでもなく、自宅はマンションではなく、一軒家だったし、その一軒家は経費的にも名目的にも会社とは関係なかったし、そうしようとも思わなかったし、ハイパーネットでパーティーを主催した覚えはないし(そもそも、そんなことが倒産につながると考えるのがおかしい)、倒産時点での未払いは数百万円ではなく数億円(こんなこと自慢にはならないが)だったわけで、つまり、情報がほぼ100%間違っているというわけです。
おそらくこの著者、ハイパーネットもしらなければ、おそらく「社長失格」にも目を通していないのでしょう。(もしくは、文章の読解力がないか)
想像するに、持ち球としての自分の情報がないところで、連載をこなすために、ネット上のいんちき情報をかき集め、原稿料をもらいながら、大衆紙にいんちき情報を発表するという結果になっているのでしょう。
彼自身の文章の信頼性を彼自身が落とすなら、彼の勝手ではありますが、SPA!や書かれた対象にとっては、非常に迷惑な話です。
僕の過去の行動を人がどう評価して、どのように発表しようとも、表現の自由を武器にしている僕自身は、まったく異論はない。だから、彼のいうところの「ずさんな経営による倒産」とか、「倒産をねたにして芸人としてせこく生きている」ということに対しては、まったくなんとも思わない。
(というか、現在の僕の主業務が、ベンチャーキャピタルであることを、彼はまったく知らないようだ)

つまり、何が言いたいのかというと、ろくに取材もしないで、どこかの誰かの情報を取り違えて、自らの表現に使うメディアも著者もたくさん居るってこと。
その意味では「社長失格」に書かれている事実は、僕の記憶の中の事実に過ぎず、他の誰かにとっては大いに間違っている可能性だってある。
しかし、少なくとも僕は、あったことのない誰かのことを、良くも悪くも表現に使うことはしていないのです。
それは、経験主義の僕のモットーだし、自分の表現の信頼性を失いたくないからなのです。
今回のこのような情報、SPA!には、これまでも何度も取り上げていただいて、よい関係であったのに、非常に残念です。
僕は、早速SPA!編集部にクレームをつけることにしました。
自分が悪く書かれているからではなく、存在しないことを文章の根源としている「うそ」をフソウシャのような大手がろくにチェックもせず、掲載することに対してです。
メディアに対する批判は、とても大切です。
なぜなら、メディアは世間を動かすからです。
「これ、おかしいなぁ」とかおもったら、躊躇せず、メディアや表現者に対してクレームを言う。
そういう姿勢が、社会の中でもっと必要ではないでしょうか?

2003年12月2日 板倉雄一郎





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