<第15号>スペースシャトル また事故が起きた。 亡くなった7人ばかりではなく、彼らを支えた(もしかしたら判断を誤ったかもしれない)NASAのスタッフについても僕はこう思う。 「彼らは英雄だ」 こんな事故が起きると映画「ライトスタッフ」の一シーンを思い出す。この映画は、東西冷戦の時代、米の有人宇宙飛行プロジェクト「マーキュリー計画」を描いたもので、もちろん実話である。 何人目かに宇宙に飛び立ったパイロットが、着水〜脱出の間にミスを犯し、データのたくさん詰まったカプセルをヘリコプターが引き上げる前に海に沈めてしまった。 そのニュースを見ていた空軍のテストパイロット達の会話である。 マーキュリー計画のパイロットに選ばれなかったテストパイロットチームの一人(この人はパイロットではなく整備士)が、そのニュース映像を見て、笑いながら皮肉を込めてこういった。 「あいつは、へまをした。サルでも出来る仕事なのにだ」 (マーキュリー計画最初のパイロットはサルが乗せられ、無事帰還したという経緯がある) これに対して、同じチームの毎日命をかけて任務を遂行しているテストパイロットが言う。 「(成否は)この際関係ない。サルは、それが爆発するかもしれないことを知らないで飛んでいる。人間はそれを知っていながら飛んでいる。それが違いだ。彼は立派に任務をこなした。」 整備士は、このパイロットの発言によって、笑顔が消え、慎重な面持ちになる。 宇宙飛行士に選ばれた精鋭たちに対する嫉妬と、それでも命を懸けていることに違いは無いというテストパイロットの心理描写を上手に描いたシーンで、この長い映画(約4時間)の中でも特に気に入っているシーンである。 確かに「作業」だけを取り出せば、ほとんどすべてがケープカナベラルからの遠隔制御に頼っているからサルでもカバでも出来る。しかし、危険を承知してそれに挑むことと、そうでないことには大きな違いがあるということだ。 我々は、とかくその成否にすべての価値判断を依存してしまいがちだ。しかしもし成否がすべてならば、賢い人ほどそのリスクを明確に認識出る。だから賢い人ほどチャレンジから逃れようとする。そして衰退ばかりになる。 誰かが、リスクを承知で新しいことに、自分と社会に益をもたらすためにチャレンジする。それが宇宙開拓であれ、事業であれ、ベンチャーである以上、その成否より先に、チャレンジそのものに価値があると僕は思う。 コロンビアの事故の「なぜ」ばかりを世界中のメディアが取り上げているわけだが、そんな事はNASAのスタッフと多くの時間をかけなければわからない。そんなことに時間とエネルギーを消費する前に、もっと考えなければならない別の「なぜ」があるのではないだろうか? スペースシャトルは飛行機や自動車に比べ、未だ「危険な乗り物」である。 なのに、なぜ彼らは飛ぶのか? そこが大切なんだ。 今、この国は元気が無い。 その原因はこの辺にあるのではないだろうか? コロンビアのチャレンジャーの方々にご冥福をお祈りいたします。 板倉雄一郎 2003年2月7日
2003年02月07日
SMU 第15号「スペースシャトル」
忙しい2月が始まりました。
2月(〜3月頭まで)は公表できる講演が8件、それ以外にも企業内研修などがいくつかあって、それらのほとんどが地方なものだから、結構きっついわけです。
さらに5月発売予定の「社長失格の幸福論」(仮題)の原稿、確定申告の準備、さらに投資先企業の正念場なものだから、こっちの方も忙しい。 おまけに巷ではインフルエンザが大流行というわけで、体調にも気を使います。
不思議なことに最近風邪を引かなくなった。 きっと食事の変化にその原因があると思う。 これまでも美味しい物(素材も調理も味も良い)を週に3回ほど外食として取っていたけれど、結婚してからというもの厳選素材でかつ栄養素を考えた食事を毎日2回は取っている関係で、体調がすこぶる良い。 実は日にワインを1本以上飲んでいるにもかかわらず、こちらの影響もほとんど無い。
もっと言うと、主に仕事の活動に積極性が生まれている。 気が付けば、ファーストフード(僕はジャンクフードだと思っています)はめったに食べないし、とんかつなど油ごってりもぜんぜん食べていない。やはり、食事って言うのは、ダイレクトに体を作るわけだから、大切ですね。 それもたまに体に良いものを食べるのではあまり効果が無くて、恒常的に栄養素を考えた食事をして6ヶ月程度経たないと自覚できないようです。
そうそう、先週時間的な都合で、あるファーストフードを摂ろうとしましたが、それまで気が付かなかったその「匂い」に結局食べられなかった。もし僕に子供がいて、僕が地方に住んでいて、子供が東京の大学に通うために一人暮らしをすることになったら、クレジットカードを作ってやって、こう言うと思う。 「食い物だけは、このカードで良い物を食ってよし。ただし、それ以外は自分でアルバイトして稼げ」と。 10代後半から20代前半の大切な時期に、ジャンクフード食わせていたら、いくら勉強させてもダメだと思う。だって脳みそだって食べ物によって作られるわけだから。
文化は食文化から。ということだろうか。
<第15号>スペースシャトル また事故が起きた。 亡くなった7人ばかりではなく、彼らを支えた(もしかしたら判断を誤ったかもしれない)NASAのスタッフについても僕はこう思う。 「彼らは英雄だ」 こんな事故が起きると映画「ライトスタッフ」の一シーンを思い出す。この映画は、東西冷戦の時代、米の有人宇宙飛行プロジェクト「マーキュリー計画」を描いたもので、もちろん実話である。 何人目かに宇宙に飛び立ったパイロットが、着水〜脱出の間にミスを犯し、データのたくさん詰まったカプセルをヘリコプターが引き上げる前に海に沈めてしまった。 そのニュースを見ていた空軍のテストパイロット達の会話である。 マーキュリー計画のパイロットに選ばれなかったテストパイロットチームの一人(この人はパイロットではなく整備士)が、そのニュース映像を見て、笑いながら皮肉を込めてこういった。 「あいつは、へまをした。サルでも出来る仕事なのにだ」 (マーキュリー計画最初のパイロットはサルが乗せられ、無事帰還したという経緯がある) これに対して、同じチームの毎日命をかけて任務を遂行しているテストパイロットが言う。 「(成否は)この際関係ない。サルは、それが爆発するかもしれないことを知らないで飛んでいる。人間はそれを知っていながら飛んでいる。それが違いだ。彼は立派に任務をこなした。」 整備士は、このパイロットの発言によって、笑顔が消え、慎重な面持ちになる。 宇宙飛行士に選ばれた精鋭たちに対する嫉妬と、それでも命を懸けていることに違いは無いというテストパイロットの心理描写を上手に描いたシーンで、この長い映画(約4時間)の中でも特に気に入っているシーンである。 確かに「作業」だけを取り出せば、ほとんどすべてがケープカナベラルからの遠隔制御に頼っているからサルでもカバでも出来る。しかし、危険を承知してそれに挑むことと、そうでないことには大きな違いがあるということだ。 我々は、とかくその成否にすべての価値判断を依存してしまいがちだ。しかしもし成否がすべてならば、賢い人ほどそのリスクを明確に認識出る。だから賢い人ほどチャレンジから逃れようとする。そして衰退ばかりになる。 誰かが、リスクを承知で新しいことに、自分と社会に益をもたらすためにチャレンジする。それが宇宙開拓であれ、事業であれ、ベンチャーである以上、その成否より先に、チャレンジそのものに価値があると僕は思う。 コロンビアの事故の「なぜ」ばかりを世界中のメディアが取り上げているわけだが、そんな事はNASAのスタッフと多くの時間をかけなければわからない。そんなことに時間とエネルギーを消費する前に、もっと考えなければならない別の「なぜ」があるのではないだろうか? スペースシャトルは飛行機や自動車に比べ、未だ「危険な乗り物」である。 なのに、なぜ彼らは飛ぶのか? そこが大切なんだ。 今、この国は元気が無い。 その原因はこの辺にあるのではないだろうか? コロンビアのチャレンジャーの方々にご冥福をお祈りいたします。 板倉雄一郎 2003年2月7日
<第15号>スペースシャトル また事故が起きた。 亡くなった7人ばかりではなく、彼らを支えた(もしかしたら判断を誤ったかもしれない)NASAのスタッフについても僕はこう思う。 「彼らは英雄だ」 こんな事故が起きると映画「ライトスタッフ」の一シーンを思い出す。この映画は、東西冷戦の時代、米の有人宇宙飛行プロジェクト「マーキュリー計画」を描いたもので、もちろん実話である。 何人目かに宇宙に飛び立ったパイロットが、着水〜脱出の間にミスを犯し、データのたくさん詰まったカプセルをヘリコプターが引き上げる前に海に沈めてしまった。 そのニュースを見ていた空軍のテストパイロット達の会話である。 マーキュリー計画のパイロットに選ばれなかったテストパイロットチームの一人(この人はパイロットではなく整備士)が、そのニュース映像を見て、笑いながら皮肉を込めてこういった。 「あいつは、へまをした。サルでも出来る仕事なのにだ」 (マーキュリー計画最初のパイロットはサルが乗せられ、無事帰還したという経緯がある) これに対して、同じチームの毎日命をかけて任務を遂行しているテストパイロットが言う。 「(成否は)この際関係ない。サルは、それが爆発するかもしれないことを知らないで飛んでいる。人間はそれを知っていながら飛んでいる。それが違いだ。彼は立派に任務をこなした。」 整備士は、このパイロットの発言によって、笑顔が消え、慎重な面持ちになる。 宇宙飛行士に選ばれた精鋭たちに対する嫉妬と、それでも命を懸けていることに違いは無いというテストパイロットの心理描写を上手に描いたシーンで、この長い映画(約4時間)の中でも特に気に入っているシーンである。 確かに「作業」だけを取り出せば、ほとんどすべてがケープカナベラルからの遠隔制御に頼っているからサルでもカバでも出来る。しかし、危険を承知してそれに挑むことと、そうでないことには大きな違いがあるということだ。 我々は、とかくその成否にすべての価値判断を依存してしまいがちだ。しかしもし成否がすべてならば、賢い人ほどそのリスクを明確に認識出る。だから賢い人ほどチャレンジから逃れようとする。そして衰退ばかりになる。 誰かが、リスクを承知で新しいことに、自分と社会に益をもたらすためにチャレンジする。それが宇宙開拓であれ、事業であれ、ベンチャーである以上、その成否より先に、チャレンジそのものに価値があると僕は思う。 コロンビアの事故の「なぜ」ばかりを世界中のメディアが取り上げているわけだが、そんな事はNASAのスタッフと多くの時間をかけなければわからない。そんなことに時間とエネルギーを消費する前に、もっと考えなければならない別の「なぜ」があるのではないだろうか? スペースシャトルは飛行機や自動車に比べ、未だ「危険な乗り物」である。 なのに、なぜ彼らは飛ぶのか? そこが大切なんだ。 今、この国は元気が無い。 その原因はこの辺にあるのではないだろうか? コロンビアのチャレンジャーの方々にご冥福をお祈りいたします。 板倉雄一郎 2003年2月7日
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