板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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SMU 第128号「セミナー考察」

今日のエッセイを書く前に、前号(SMU 第127号「中越地震などもろもろ」)を読み返してみました。

いや~しかし、僕の文章は、とんでもなく文法違反と誤字脱字のオンパレードですね。(笑)

「少しは、見直してからアップしなさい」って思うのですが、一度「編集さんのお世話」になると、このような誤字脱字に無頓着になるんですよ。でもね、ブログの場合は、自分がテキスト編集しなくちゃいけないから、これじゃ駄目ですね。意味が通じて、誤解が無ければそれでいいのですけど。

ところで、本日も「企業価値評価シリーズ」セミナーの開催日です。

自分で始めたこととはいえ、気がついたら毎週このセミナーを、どこかのグループで開催しているわけです。講義内容は一緒でも、各グループによってその日程に違いがあるものですから、「あれっ? このグループ、今日は何回目だったかな?」なんて、コンガラガルことがしばしばあります。(もちろん、間違えたまま講義はしませんよ。事前に確かめますから)

更に、各グループの受講人数は、最低でも14名ですから、受講生の名前と進捗状況をつかむのも大変なのです。何だか学校の先生の事務作業みたいですね。ふと「なぜ僕は、こんなことやっているのだろう?」と思うことは確かにあるのですが、何度も書いているように「そうだ、楽しいからやっているんだよ」って、毎回解決するのです。これからも楽しんでセミナー活動を継続します。

ところで、セミナーというのは、特にこの季節、あちこちで、様々な内容が開催されています。ある講師派遣の会社に伺ったところ、日本全体で「講師に支払う講演料のサイズ」は、5,000億円だそうです。これは、有料セミナーの参加費も含めたマーケットサイズとなれば、もっと大きくなりますよね。

このマーケットサイズを、大きいと考えるか小さいと考えるかは、人それぞれでしょうけれど、僕の場合、そのマーケットサイズより、「根本的な内容」の方が気になってしまいます。

つまり、セミナーコンテンツの充実度だとか、完成度といった品質のことではなく、コンテンツそのものに影響を与える「主催者の意図」のことでの内容です。

高額の有料セミナー(たとえば当事務所セミナーなど)の場合、主催者の意図は、「ビジネス(=金儲け)としてのセミナー」と認識できます。

ですからこのようなセミナーの場合、その内容対する「変なバイアス」をさほど気にする必要は無いと思います。事実、主催者である僕は、「楽しみ」と同時に「金儲け(といっても大してオイシイわけではありませんが)」をとりあえずの目的にしているので、そのコンテンツについては、そもそも広く認められているお金の理屈の講義ですから、嘘偽りもなければ、変なバイアスもありません。

注意しなければならないのは、「無料セミナー」の存在です。セミナーと称して、実は販売促進をする場合のようにアカラサマな場合は、注意もなにもあったものではありませんが、無料で且つ、その場で何も販売しないセミナーには注意が必要です。
もちろん、善意の場合もあるでしょうが、多くの場合、何らかの思惑が働いて、コンテンツ自体に何かが仕組みこまれていることが考えられるわけです。

そこで最も注意すべきことは、有料でも無料でも「主催者の立場」ということになります。

誤解を恐れずに書けば、
「義務教育」は、その主催者(?)であるところの国の都合が織り込まれています。
「証券会社主催、無料株式投資セミナー」は、(少なくとも僕は、労働と投下資本の割には儲からないと思っている)デイトレードを勧めるものであって、間違っても「バリュー投資」などは勧めないでしょう。

どちらかというとザラ場での「トレードの仕方」に限定されると思います。だって、デイトレが証券会社を儲けさせますからね。間違っても企業価値評価手法などは教えないわけです。

これ以上例を挙げる必要はないでしょう。主催者の立場を考えれば、自然とそのセミナーのバイアスが判明するというわけです。この点で、注意が必要ですね。

デイトレードについては、これまでに何度も書いてきたように、非合理的な金儲けの手段であると考えています。

トレードという以上、それには「投下資本」が必要なわけであって、投下資本がある以上、「その金自体が金を生む」というシナリオが無ければ、意味が無いわけです。

ところがデイトレの場合、投下資本があるのは当然ですが、その上で、睡眠時間を削り、ザラ場でハラハラ・ドキドキしながらトイレにも行けずに労働(人によっては、博打としての楽しみだったりするのでしょうけれど)するわけですから、割に合いません。

以上は、当たり前のことなのですが、おそらく(僕は参加したことはありませんが)オンライン証券会社主催のセミナーでは、間違っても教えてくれないことですよね。

「教える側と教わる側の利害の不一致」が最も顕著に現れるのが、証券会社主催のセミナーなのです。

(「外国為替証拠金取引」について、その取引業者から手法を教わるなんて人は、「おめでたい」としか言いようが無いですね。だって、実際の取引相手は、その取引業者なのですよ。彼らが儲かるためには、一般顧客が損をする必要があるわけです。これも本当です。)

例えば、株式投資の勉強をしたいのなら、その取引によって稼いでいる者(証券会社)からではなく、投資そのものをビジネスにしている者(投資家)から教わるべきですし、不動産投資の勉強をしたいのなら、その取引をビジネスにしている者(REITの販売者や不動産会社)からではなく、不動産投資をビジネスにしている者(不動産所有者)から教わるべきです。

例えば、保険の選定をしたいのなら、それを販売している者(保険会社やその商品の取り扱い企業、および、実は彼らの手先であるところのフィナンシャルプランナー(笑))からではなく、その商品の実質利回りや保障(または補償)内容を、「自ら判断できる知識を身に付ける」事が大切です。

以上、セミナーの考察でした。

ところで、最近エッセイ画面にある「コメント欄」を利用できないように設定しました。

その理由は、二つあります。

一つは、スパムが多く書き込まれること。
一つは、僕宛の信書メールを送るつもりで、間違って公開コメントを書いてしまう人が多いという理由からです。

ある方のブログに僕のWEBは「コメントもかけないし、トラックバックも受け付けないので、ブログの意味が無い」などと書かれていたのを発見したことがあります。

この方、「誰かが作った概念」という毒に汚染される傾向があると思います。「ブログはこうあるべき」なんて事は、少なくとも僕には全く関係ありません。僕がブログ機能を使う理由は、「毎日の更新を楽にしたい」という目的を満足させるためだけですから。

そもそも、「道具」というのは、「何のためにデザインされたか」ということより、「何に使えるか」を自分なりに考えることが大切なわけですから。

どうかご理解くださいませ。

また地震がありましたね。
現地の人たちのストレスを想像するだけで具合が悪くなってきます。

2004年10月27日 板倉雄一郎





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