「ゲーム理論」は、ご存知ですよね。
(詳しく知りたい方は、その手の本を読んでみてください。)
まあ、カンタンに表現すれば、ディールの際に、
「こちらがこう出れば、向こうはこう出るはず。
よって、こうすれば、相手がこう動いて、結果はこうなるはず。」
といったやり取りを、論理的考えるための手法です。
この「ゲーム理論」を知っていると、「複数回実施するジャンケで勝つ方法」も、「需給から、最もリターンを多くする方法」も得られるというわけです。
正直、僕はこの理論は、ビジネスの実践で、非常に役に立つと思っています。
ハリウッド映画には、ゲーム理論が実は多用されています。
たとえば、(僕の知る限り)「レッドオクトーバーを追え(The hunt for Red October)」という映画は、まさにゲーム理論をベースに、そのストーリーが描かれていると思います。
米ソ冷戦時代を背景に、ソ連が開発した「無音推進装置搭載潜水艦レッドオクトーバー」の艦長が、潜水艦もろとも米国に亡命する計画に、米ソがそれぞれどのように対応するのか?を描いたものです。
主人公は、米ソそれぞれの出方を分析し、ゲーム理論を応用しながら、「ソ連にバレないように、潜水艦もろとも奪取する方法を探る」というものです。
(この映画、おもろいですから、是非観てくださいね)
ゲーム理論は、経済、生活、恋愛など、様々な人間の活動に適用可能なのですが、今回はその弱点について書いてみたいと思います。
SMU第174号「孫正義は狼中年」というエッセイをアップした日、何人かの読者やセミナー受講予定者から、概ね以下のようなメールを頂きました。
「板倉さん、あんなに(本当のこと)書いちゃって、大丈夫ですか? ハラハラしながら読んでいます。次回のセミナーが中止にならないかと、誰かに絡まれないかと、心配しています。」
正直僕は、笑ってしまいましたよ。
心配要りません。
むしろ、「2ch」に、匿名で、論理的根拠の無い誹謗中傷を書いている人のほうが、あ・ぶ・な・い のです。
なぜなら・・・・(ゲーム理論で考えれば)
僕は、表現を、「板倉雄一郎の発言」として書いたり、話したり、しています。
よって、その文章が、(仮に)大きな影響力があり、(仮に)誰かの「痛いところ」を突いていたとして、(仮に)その誰かが「あいつは気に入らない。邪魔者だ。」と思ったとしましょう。
その誰かは、僕に危害を加えたり、僕の活動(たとえばセミナー)を妨害したり、すると思いますか?
(相手が、まともな感覚を持っていれば)そのようなことは、しないはずです。
なぜなら・・・・
僕に危害を加えれば、それが第三者に依頼して実施したとしても、市場は、社会は、それが「〜がやったんじゃないか?」と簡単に推測できてしまうわけです。
(仮に)それが、交通事故だとしても、です。
逆に、「2ch」辺りに、何の根拠も無く、論理も無く、しつこく誰か他人の誹謗中傷をしている場合、(技術的には、その発言者をある程度特定できますから)その発言によって、不都合が生じる誰かは、その発言者を突き止め、妨害を加える可能性があるわけです。
なぜなら・・・・
その「匿名発言者」が、何らかの妨害を受けても、それが誰によるものか、判断が難しいからです。
(これと似た話しに、「ラスベガスでジャックポッドを当てた人は、必ずメディアに出る」という事実があります。これは、以上のゲーム理論からお分かりのとおり、「危害を加えられないため」なのです。
もちろん、ロトやカジノの主催者が、当選者を殺すということが、嘘か本当かは知りません。
ですが、ゲーム理論で考えれば、良く理解できる行動ですよね。)
僕は、自分が感じたことを、自分の精神に照らし合わせて「間違っていない」と自信を持てば、いつでも「板倉雄一郎の発言」として、社会にそれを表現していくつもりです。
自分が感じたことを表現できないのでは、生きている意味が無い。とさえ思っています。
自分の発言を、自分の精神に照らし合わせて、「間違っていない」と思っても、発言するのが怖いのならば、北朝鮮にでも行ってください。
僕が最近、一番がっかりしたことは、上記の「〜大丈夫ですか?」という発言の多くは、20代の若者の発言だったことです。
20代から、「体制による圧力」を怖がり、思ったことを発言する人を賞賛できない現在の日本。
僕は、フィナンシャルリテラシーの教育以上に、もっと根深い日本の問題を感じてしまいます。
話、ゲーム理論に戻ります・・・・
以上のように、僕は自分の行動や戦略を、ゲーム理論をベースに展開しています。
しかし、もうお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、このゲーム理論は、
「自分の知識、能力の範囲で、相手の出方を論理的に予測する」ということをベースにしています。
よって、相手の出方は、自ずと「自分の予想の範囲」でしか予想できないというわけです。
つまり、相手が、(自分に比べて)「とんでもない馬鹿」であったり、「とんでもない天才」であった場合には、ゲーム理論が通用しないというわけです。
その意味では、僕は孫正義という人間を、「全うな人間」との前提を置いて、例の「孫正義は狼中年」というエッセイを書いたとも言えます。
よって、彼が僕の予想を超えた「とんでもない天才」である可能性も、同時に否定しません。
ですから、僕なんぞの予想をはるかに超えて、彼は成功を継続するかもしれません。
僕は、何も「ソフトバンクに失敗して欲しい」と思ってエッセイを書いたわけではありません。
それどころか、「是非、僕なんぞの予想を超える、サプライズを実現して見せてくれ!」とさえ、本音では思っていたりもします。
エッセイでは、ただひたすら、客観的に、彼らの「資本コスト」を根拠にした、将来予測には、かなり無理があると論理的に書いたに過ぎません。
今、僕は、ファイナンスや経済の勉強と実践、そしてその結果の表現を通して、株式会社ハイパーネットの失敗について、その本質を掴みつつあります。
現時点での、(ゲーム理論で考えた場合の)僕の失敗原因は、まさに、
「相手を、全うな人間=経済合理的に行動する人間 と勘違いしていたことによる失敗」と思っています。
もちろん、この場合の「相手」とは、当時の都市銀行(投資銀行ではありません)のことです。
当時僕は、
「今、資金を無理やり引き上げれば、経済的に最も多くの損失を出すのは、他でもなく融資を実行した金融機関だ。彼らは(経済的に全うのはずだから)そんなことはするはずが無い。」
と思っていたわけです。
ですが、僕の予測どおりに、彼らは行動しませんでした。
彼らは、経済合理性に基づいて行動する人種ではありませんでした。
これは、その後の彼ら市中銀行の、「おばかさん振り」を見れば明らかです。
そして、その組織に帰属する人のほとんどが、少なくとも今の僕ほどのフィナンシャルインテリジェンスを、おそらく今日現在でも持ち合わせていないということです。
以上、ゲーム理論に頼りすぎることの弱点でした。
「バランスシートを小さくする経営技術」については、次回に見送ります。
板倉雄一郎 2005年2月2日
PS:
僕のエッセイSMU第178号「オンライン証券会社の増収は、株価の下げ圧力」に対して、反論を頂いたWEB(http://www.tez.com/blog/archives/000335.html)がありましたので、興味を持って、拝見し、僕のコメントを先方のWEBに、実名でアップしました。
是非ご覧ください。
ただ、(彼に対する反論としてではなく)、彼の意見は、概ね「オンライン証券会社の影響など、さほど大きなものでもない」ということであって、僕の理論の否定にはなっていません。
また「短期投資家は、博学者が多い」との主張も、残念ながら、「だから、株価の下げ圧力ではない」ということにはなっておりません。
ですが、僕なんぞの主張に、意見を頂、実名でその主張を表現する彼(磯崎氏)には、正直興味をおぼえます。
彼のWEB上にコメントを書いたように、彼のような「自分の発言を恐れない人間」と意見交換など出来れば、うれしい限りです。




















