板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

企業価値評価・経済・金融の仕組み・株式投資を分かりやすく解説。理解を促進するためのDVDや書籍も取り扱う板倉雄一郎事務所Webサイト

feed  RSS   feed  Atom
ホーム >  エッセイ >  スタートミーアップ  > SMU 第120号「秋晴れ」

SMU 第120号「秋晴れ」

今日は、これぞ秋晴れ!という天気で、うれしいでございます。
嬉ついでに、SMU117,118号の問題について、最初の正解者がやっと現れました。
それも、「企業価値評価シリーズ」セミナーの東京の受講生の一人だったものですから、なおさらうれしいわけです。
間違いの原因の多くは、企業の継続価値を計算する「公式」だけに頼った方に多く見受けられます。
つまり、そのメカニズムを検証せず、公式の「暗記」によって、それを学習した「なんちゃって理解」の人によるミスです。やはり学習とは、一つの事象について多方面から同じ結論に達する過程の経験を積み上げないと、腹の底に落ちる本当の理解には至れないわけです。
さらに、この分野に限らず、適当な本を「読んだだけ」の人の理解というのは、「なんとなく構造は理解できる」という程度であって、実際の投資や経営の側面での「判断に自信を持つ」にはなりえません。
よく居るじゃないですか「勘です」などといいはばかっている人。
理論に基づいた判断を繰り返してきた中で、あるとき「勘が働く」なら、かなり価値があります。しかし、ほとんどの場合、学習するのがめんどくさいから「勘」という人が多いですね。そんな人の経営する会社に就職したり、投資したり、取引したりするのって、危ないですね。
特に企業価値評価は、大切なお金の問題ですから、エクセルなり表計算ソフトなどで、しっかり論理的に計算ができない大まかな理解など、ほとんど何の役にも立ちません。論理的な理解ができていて、単に作業が面倒だからということで、計算そのものを誰か理解している人に委ねるのはOKですけどね。その結果をどう判断するかという点が、最も重要ですから。

ところで、せっかくですから、もう一つ追加設問を出しましょう。
この設問は、僕が117号の問題を修正した理由についてです。

設問1
「117号の問題修正前の企業について、その問題点とその理由を挙げなさい」

設問2
「117号の問題修正前の企業について、その企業価値を高めるためには、どのようなオペレーションが必要になるか、意見を書きなさい。」

と、自分のミスを棚に上げて、新しい問題としてみました。
レベルは中級です。

答えは、気が向いたときに書きますね。

ところで「西武=コクド」の事件ですが、僕の感想としては、これで堤義明氏が禁固刑にでもならないとするなら、この国のガバナンスや証券取引法は、ほとんど意味が無いと断言します。
彼らのやっていたことは、「嘘ついて、一般投資家を騙し続けていた」と、少なくとも僕は感じます。
でも僕は、同社の株主ではありませんから、この事件自体はどうでもいいですけど。
そもそも、支配株主(この場合コクド)のエタイ(財務に始まる企業情報)が知れない企業に投資するほうが「ちとおかしい」わけですけどね。
本来、企業が上場するとき、支配株主が単なるホールディングカンパニーではない場合、支配株主の方から先に上場させるはずなんですけどね。
要するに、企業経営者が、一般株主を「なめている」という象徴的な事件です。
「その上場企業の戦略や財務が立派!」でも、「支配株主の正体が不明」という場合、僕は絶対に投資しません。このような企業結構ありますからね。

証券取引所の審査に対する提案ですが、「経営とは、株主資本の管理である」という大原則と、そのメカニズムについて、経営陣が認識・意識しているかどうかを、定期的に確認するようにしたらどうですかね?

それでは、今日は天気も良いし、予定もないし、アスファルトの温度も低いようなので、犬の散歩を楽しみます。

2004年10月15日 板倉雄一郎





エッセイカテゴリ

スタートミーアップインデックス