板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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SMU 第176号「魔法使いに三つのお願い」

魔法使いに「あなたの願いを、何でも3つ叶えてあげる」と言われたら、あなたは何をお願いしますか?
(「社長失格の幸福論」を読んでいただいた方は、お分かりですよね。)
「魔法使いなんか、居るわけ無いのだから、そんなこと考えても意味がないよ」などと言わずに、ちょいと考えてみてください。
(じゃないと、本日の大切なコンテンツにたどり着きませんから。一番大切なことは、最後に書いてありますから、是非最後まで御付き合いください。)

僕なら魔法使いに、このようにお願いします。

魔法使いさん、ありがとう。
でも、僕は3つもお願いすることが無いから、1つだけでいいです。
僕を、魔法使いにしてください。

以上は、僕が物事の意思決定をするときに、よく使う思考方法です。

たとえば、SMU第173号「お買い物の下手上手」の中で、「僕ならこうやる」という部分の発想は、まさに、この考え方から生まれます。
つまり・・・・
「価値」を手に入れようとするのではなく、「価値を生み出すモノ」を手に入れようとするというわけです。
(「魔法使い理論」By Yuichiro ITAKURA)

たとえば、純資産100億の企業の時価総額が30億だったとしましょう。誰でもこの企業を買収したくなりますよね。当たり前です。浮動株比率が高ければ、TOBしたくなりますよね。
買収して、分解すれば現金を稼げます。
また、密かに買いを進めて、後で大騒ぎ(吹聴なり、株主総会で暴れたり(笑))すれば、株価は上昇し、短期で儲けることが出来ます。つまり、アービトラージュ(裁定)です。
(この方法が、いいとか、悪いとか言うことを書きたいのではありませんからね。)
この方法は、「実際の経済価値より、低い価格で、価値を手に入れる。」というわけですから、やはり手に入れるのは、上記の「魔法使い理論」で分類すると、「価値そのもの」を手に入れるということです。
一方、「平凡な経営者が経営しても、毎年多くのフリーキャッシュフローを生み出す会社」を手に入れようとするのは、「魔法使い理論」で分類すると、「価値を生み出すモノ」を手に入れるということになります。
(バリュエーション理論から言えば、後者の場合も「価値そのもの」を手に入れるということになりそうですが、あくまで、前者との区別という意味で理解してください。)

どちらが良いとか悪いかとかの問題ではなく、少なくとも僕は、「価値を生み出すモノ」の方が、「価値そのもの」を手に入れるより、好きだ。というだけの話しです。

「魔法使い理論」のたとえば話が続きますが・・・
たとえば、「投資情報に価格を支払う人」と、
「経済価値の評価方法を身につけるために価格を支払う人」の場合、
前者は「価値そのものを買う」であり、
「後者は、価値を生み出すモノ(=知識)を買う」ということになります。

なんだか、皆さん、イヤラシイ予感してますか?
「また、そこに持っていくのかよぉ?」って(笑)
その予感どおり、セミナーのお話しになります。
(ですが、最も大切なことは、最後に書いてありますので、あきらめないで最後までお付き合いを!)

つまり、「企業価値評価シリーズ」セミナーは、「魔法使い理論」で分類すれば、明らかに「価値を生み出すモノ」を手に入れるためのセミナーです。
さらに、セミナーで得られた知識は、それ自体が価値を生み出しますが、「価値を生み出すモノ」を探し当てることが出来るというオマケつきなのです。
つまり、「価値を生み出す企業」を探し当てることができるようになるという、「価値を生み出す知識」を手に入れる・・・なんだか自分で書いていて、こんがらがってきましたが(笑)、つまりそういうことです。
(僕、「幸運の水晶」とか売っても、売れるかもしれない(爆笑))

ねっ、「魔法使いなんて居ない」と片付けてしまわない方がいいでしょ?

ということで、セミナーの具体的な話です・・・・
当事務所の市場調査や、僕宛の「セミナーに関する問い合わせ」を見ていく中で気がついたことですが、以下のような、「心配事」を皆さん抱えているようなのです。

「セミナーで推奨している本を買って読んでみたけれど、チンプンカンプンだから、セミナーは、僕には無理」という方へ。
あれを読んで完全に理解できたら、その人にとって、このセミナーの価値はゼロですよ。
いらっしゃっていただいても、時間と金の無駄です。
難しそうな理論を、カンタンに説明するのが、セミナーの価値というわけです。

「でも、あの本の内容から想像するセミナーの内容は、やっぱ無理」という方へ。
あの手の本は、やたら「難しそう」に書いてあるのですよ。
そもそも、「お金の理屈」なのですから、本来我々が毎日感じていることなのです。
毎日感じている暗黙値を、理論によって顕在化させるというわけです。
大丈夫ですから。

「でも、やっぱ、財務がわからないし・・・」という方へ。
最初に説教しておきますが(笑)、財務がわからなくて、よくもまあ「株式投資」だの、「会社員」だの、「会社経営」だの、「家計」だの、やってられますねぇ。
そんな人、知らず知らずの内に、おそらく一年も経たないうちに、20万円ぐらいの見えない損失をしていますからね。
少しでも、経済に関わる者なら、B/S,P/L,C/Fぐらいは、大雑把でかまいませんから、理解しているべきですよ。
財務なんて恐れるに足らず、「項目を暗記するのではなく、全体像を掴むという視点」で考えれば、誰にでも理解できます。
セミナーの案内ページで推奨している「財務諸表の見方」は、たった900円ですから、セミナーに来てもこなくても、「死ぬまでには、一度読んだほうがいいですよ!」

(はい、やっと大切な部分に到達しました。)

僕は、金儲けも好きですが、もっと根底には、
「日本人のフィナンシャル・リテラシーの低さ」を何とかしたいという思いがあるのです。
フランスには、「ブランド物」によって、
アメリカには、「マネーゲーム」によって、
我々が、汗水流して一生懸命作った自動車や家電製品から生み出されたお金を、いともカンタンに持っていかれてしまうのを、黙って見ていられないのです。
金だけなら、まだいいですよ。
でも、今は、「価値を生み出すモノ」、つまり「ものづくり企業」という、我々の懐刀まで、あっさり持っていかれようとしているじゃないですかぁ!
以上の原因は、間違いなく「日本人のフィナンシャル・リテラシーの低さ」が原因なのですよ。
イイカゲン気がついてください。日本人の皆様。
以上よろしくです。

2005年1月28日(分) 板倉雄一郎 

PS:
今週は、このエッセイ計6本と、デリセミ(企業様への出張セミナー)3回と、例の投資理論の構想と、当事務所の近未来計画の構想と、とにかく(頭の中が)忙しかったのです。
でも、楽しくてたまらないのです。
僕の仕事は、作業ではなく、想像であり、創造であり、人との出会いだから、楽しいのです。
でも、体と頭を休めたいので、書きたいことがあっても、週末は、絶対に休むぞぉ?。
って、エッセイを休むだけですけどね。
おやすみなさい・・・・





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