すでにお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、「実践・企業価値評価シリーズ」合宿セミナーの募集を開始いたしました。
詳しい内容については、案内ページ(左フレームから、「実践・企業価値評価シリーズ」のリンクをクリック)を参照してください。
あまりしつこくセールストークをしても仕方ないので、一言だけ申し上げます。
「騙されたと思って(笑)参加してみてください。」
よろしくです。
今週末(2005年1月23日日曜日)には、セミナー卒業生と当事務所パートナーによる、「新年会」を開催する予定なのですが、この新年会、僕の都合で、船橋での開催となっているのです。
にもかかわらず、今回は25名ほどの参加希望を頂いております。(中には、名古屋から参加される、先の合宿セミナーの卒業生もいらっしゃいます)
この状況は、セミナーバリューを如実に示しているのではないか・・・などと、パートナー一同、大変喜んでおります。
僕は、幸せ者です。
なお、本年末には、忘年会の余興(?)として、セミナー卒業生による「バリュエーション大会!」を開催予定です。今から楽しみですが、まずはセミナーに是非参加してみてください。
それでは、本題「β」です。
CAPM(資本資産評価モデル)をご存知の方は、企業のWACC(加重平均資本コスト)の因数である株式機会費用の算出式が、以下であることをご存知かと思います。(ご存知で無い方でも、セミナーに出ていただければ、わかりますよ(しつこく宣伝かぁ〜笑))
株式機会費用=rf+[E(rm)-rf]*βj
株式機会費用=リスクフリーレート+マーケットリスクプレミアム*β
企業価値を測定するとき、「将来キャッシュフロー」と、その「割引率」が、大きなインパクトを持っていることは、バリュエーションを続けているうちに気がつきますよね。
割引率をちょいといじっただけで、企業価値は大きく変化しますし、その因数である将来キャッシュフローの予測も、その成長率をちょいといじっただけで、これまた大きく変化します。
今回は、そのインパクトのでかい割引率=WACCの算出における、一つの因数「株式機会費用」のさらに因数である「ヒストリカルβ」について、考えてみたいと思います。
β値を大雑把に表現すれば、それが「1」のとき、マーケット平均と同じ価格変動リスクであり、「1」を下回れば、マーケット平均より価格変動リスクが少なく、「1」を上回れば、マーケット平均より価格変動リスクが大きいというわけです。
セミナーにて取り上げた個別企業「吉野家D&C」のβ値は、ある投資銀行の発表では、「0.61」だそうです。
(「だそうです」という表現は、僕自身が、βを入手していませんし、セミナーでは講義するものの、自身の投資活動では、利用していないからです。詳しくは、SMU第103号「資本コストと割引率」をご参照ください)
しかし、吉野家のチャートを見れば、誰でも気がつくように、2003年末の米国産牛肉輸入禁止のニュース以降、明らかにその価格変動リスクは高くなっています。
出来高の変化に注目してください。だれでも「見た目」だけで即座にわかります。
つまり、2003年末から、吉野家のβは実質高くなっているわけです。
ところが、今日現在のヒストリカルβは、「0.61」というわけです。
なぜか・・・・
これは、ヒストリカルβの算出方法に原因があります。
ヒストリカルβの算出方法(について、詳細に書くことは割愛いたします)は、ある一定期間(たとえば、直近から数年とか)の過去の価格変動履歴を因数として算出します。
株価チャートにおける「25日移動平均」などと同じように、計算対象の期間は移動するわけです。
その結果、吉野家のように、「ある日突然、その性質が変化した企業」の場合、その事象が起こった後にもかかわらず、ヒストリカルβの算出期間の関係で、因数の多くは「突然起こった事象以降のデータ」はほとんど反映されず、多くは「その事象の前のデータ」に依存してしまいます。
(まあ、時間とともに、いずれは反映されるというわけですが)
よって、「ヒストリカル」である以上、突然の変化には対応できないというわけです。
(「だから、意味があるんだ、長年の変化傾向こそ重要であって、足元だけに頼っては間違う」という意見もあろうかと思いますが、これに対する反論は割愛いたします)
よって、僕個人としては、先にご紹介したSMU第103号のように、そもそもCAPMを無視した手法をとっているわけです。
ウォーレンバフェット氏は、「会長からの手紙」の中で、βとそれの信奉者についてこう表現しています。
「彼らはデータベースや統計学の知識を駆使して、株式の過去の相対的なボラティリティーを示す「β」値を正確にはじき出し、その結果を基に、不可解なる投資理論や資本配分理論を打ちたっています。しかし、リスク算定のために単一の統計にこだわるあまり、彼らは基本原則を忘れてしまっています。それは、絶対的に間違えるよりは、およそ正しい方がよい、ということです。」
(「ウォーレンバフェットからの手紙(ダイヤモンド社より)
また、こうも表現しています。
「βは、株価が高いときより、大巾に株価が下がったときのほうが、リスクが高いといっているようなものです。」
お金ってのは、至極単純な仕組みで動いているものです。
今日は、こんなところで。
ちなみに、セミナーでは、「ヒストリカルβ」の算出方法についても講義しますし、また以上のように「それに頼りきってはいけない理由」についても、同時に講義していますので、念のため。
板倉雄一郎 2005年1月19日




















