板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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SMU 第63号「デイトレーダー3」

いやぁ~、ハマっています。デイトレード。株式投資そのものは、当時経営していた会社(ハイパーネット)の流動性のほんの一部を運用していたり、現在の会社(ベンチャーマトリックス株式会社)もベンチャーキャピタルであるわけだから、上場株式ではないにせよ株式投資に変わりはない。

もっと広義でいえば、20歳でゲームソフト会社を起業したときから、自社株式の大部分を僕自身が保有(投資)していたわけだから、これもあわせて株式投資暦計20年ということになる。しかし、今はまっているデイトレードは、これまでの長期保有スタイルとは全く異なる投資手段であるから、益を得るためには全く異なる技術や経験を必要とする。

それでも僕は経験主義だから、その行為の損益がどうであれやらなければならない。(いや、新しいことをするのが楽しいだけかもしれない)短期の株式投資の醍醐味といえば、やはり信用取引である。

証券口座に入金した保証金に対してどこのネット証券でも概ね3倍ぐらいのレバレッジの効いた取引が可能になる。当たり前だが、そのレバレッジの分だけ、損益も拡大する。仮に信用買いをした企業の株価が大幅に下落すれば、保証金を食いつぶし、追証を求められることだってある。しかし短期で十分な益を得ようとすれば、大きな金が必要だ。

ということで信用取引は今やネット証券取引のスタンダードになりつつある。僕の場合は、そもそもデイトレードを試してみようという程度で始めたわけだから、わざわざ信用取引口座を開設する必要など全く無かった。買いたい企業を自分で決めた予算(=証券口座の資本)の範囲で買えばよい。レバレッジはゼロだから、最大の損失(たとえば投資先企業の倒産)の場合でも当該口座にある資金がゼロになるだけで、予算オーバーなどありえないわけだ。

余裕資金でやっている分には生活が苦しくなったり、株式投資のためにサラ金から金を借りるなどという全くバカバカしい状態に陥ることは一切無い。ところがだ、僕は信用口座を開設した。その理由は「空売りができるから」だ。

普通世の中、持っていないモノを売ることはできない。どうしても売りたい場合、売りたいモノを借りてくるしかない。これまた普通の世の中「あんたの持ち物を売りたいので貸してください。後で返します。」などと言って貸してくれる人など居ないわけだが、証券取引の場合は当たり前のように行われている。

売りたいモノを貸してくれる人は、同じものを買いたい人に金を貸す人でもある。金を貸すときには普通担保を取る。信用取引の場合、買う証券を担保に金を貸すわけだから、金を貸した人の下には証券がごろごろある。なのでついでにその証券を売りたい人に貸してあげるという寸法だ。

話を戻そう。株価というのはその市場に参加するさまざまな人間の思惑によって動く。同じ企業のニュースや業績に対しても、今より「上がる」と思う人も居れば「下がる」と思う人もいる。しかし「買い方」だけの立場しかもっていなかったら、新規の株の取引の場合、株価が上昇すると判断したときしか市場に参加できない。

株価が高騰していて「これは行き過ぎじゃないか」と感じることはできても、その株を持っていなければ何もできない。つまり「買い方」だけの場合、思考、判断、そして時間の効率が「売り方」も兼ね備えている人に比べて半減するというわけだ。

機会損失と言うわけである。信用取引によって、買う場合のレバレッジと空売りという手段が得られる。まあ、どこの入門書にも書いてあることだ。くどくど書いたわけだか、僕の場合、以上の信用取引における「機会の優位さ」が信用口座を開設した理由なわけではない。

(さっさと書けよと言わないでくださいね、書くの好きなんだから)

その理由はお分かりの方も多いとは思うが「売り方」という立場で株価の動きを見てみたかったというわけなのです。「買い方」だけの立場しかもっていない場合、自分が参加できる機会が半減するわけなので、その半分の機会を最大限に利用しようとします。すると強気のときは、すべてが上がるように感じてしまい、弱気のときはすべてが下がるように感じてしまいます。

つまり「弱気」「強気」どちらの場合でも、自分の手段が限られているものだから、市場に対して自分の「思い」とか「願い」などの気持ちのバイアスが生まれ、それが取引に影響してしまいます。

当たり前ですが「思い」や「願い」は市場には聞き入れてもらえません。

まったく何の効力も無いわけです。ところが売り買い両方の手段を持っていれば、そのときの地合いによって、どちらか都合の良い手段を選択できるわけですから、株価の予測について「買い方」だけのときよりも、はるかに客観性を保てるというわけです。女性の方(男性の方)、男性の立場(女性の立場)になって世の中を見てみたいと思ったことありませんか?ありますよね。

でもこれは不可能です。不可能というのは医学的科学的に不可能だということだけではありません。女性(男性)が、男性の立場(女性の立場)になるということは、精神構造も男性(女性)になるということなので、結局、性がスイッチしただけで、やはり逆の見方を検証することはできないというわけです。(量子力学で言うところの、物体をあるがままに観測することはできないということと同じですね)ところが証券取引の場合、同じ人格の人間がどちらかの立場を同じ人格のまま選択することができるわけですから、試してみたくなるというわけです。

これが僕の信用口座開設の最も重要な理由というわけです。長くなりましたね。

さて、結果はどうなるか・・・結果というのは損益の結果、そして「売り方」になってみてどのような感想が生まれるかということですね。特に空売りは気をつけないといけません。

なぜなら、「買い方」の最大の損失は、その株式がゼロ(=倒産)したときの損失に確実に限定されるが、「売り方」の損失は、限度が無い。株価がどこまでも上がり続けるということ(はありえないのだが)によって、予想外の損失が出る可能性があるからです。結果についてはいずれこの場で発表したいと思います。

例によって気が向いたときになりますが。おそらく近いうちにお勉強代を払うことになるのではないかと予測しますが、人は、特に僕は、痛い思いをしないと学習が進まないという愚者ですから、仕方ないのですが。

2004年6月13日 板倉雄一郎

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