一昨日(1月23日)の夜は、セミナー卒業生との新年会でした。総勢25名もの方々に、船橋までご足労いただきました。
(セミナー開始から半年ほどですが、セミナー卒業生は、かれこれ70名ほどになっております。)
遠くは、長野、名古屋、大阪から駆けつけてくれた卒業生&受講見込みの方もいらっしゃいました。
「なんで、船橋?」それはですねぇ、以前にこのエッセイで紹介した、驚きの安さとネタのよさ「吉光」に皆さんをご招待したかったからなのです。
予約を入れた日、この店の大将とメニュー&予算について打ち合わせしていたとき、彼はこう言ってくれました。
「とにかく板倉さんの顔だけは、潰さないようにすっから!」
この言葉を聞いたら、細かいことなんてどうでもよくなっちゃいますよね。(笑)
で、当日のお品書きはというと、、、
・かなり大ぶりの毛蟹(ひとり一匹)
・天然トラフグの刺身
・真鯛、伊勢海老、ウニなどを盛り込んだ舟盛り
・にぎり鮨(一人5貫)
・天然トラフグの鍋(〆は雑炊)
以上にアルコール(八海山などなど)を加えてその値段は・・・
これ、皆さんの想像の範囲を確実に超えちゃってます。
書いていいものかどうか・・・興味のある方は、とにかく足を伸ばしてみてください。一方、味はといえば、天然トラフグは、その昔、僕が結構羽振りよく都心で遊んでいた頃、いわゆる「フグの有名店」で食したものより「遥かにウマイ!」です。
正直、後半はかなりオナカが苦しかったです。(笑)
その後、徒歩2分のシダックスにて午前3時の閉店まで、カラオケならぬ講演会とあいなりました。
大勢での会合に、歌わずともカラオケボックスって使えるんですね。(笑)やはり、「何のために設計されたかではなく、何に使えるか」って事が重要なのです。
食べながら、飲みながらなのに、それぞれの会話の内容は、
「その会社は、レバレッジ利かせすぎだよ」とか、
「ROICって、つまり回転率ですよねぇ」とか、
「今後、資金量が増えてくると、回転率上げられないから本気でバリュー投資を考えないと・・・」だとかに混じり、
「浮気をする異性がイヤというのは、所有欲であり所有すべきは、キャッシュを生み出す・・・云々かんぬん」と、僕の理屈っぽいところが伝ってしまったのかなんなのか、少なくとも皆さん、あらゆることを論理的に考える思考が身に付いた様です。
ご夫婦でセミナーに参加いただいた方がいらっしゃいましたが、このご夫婦、セミナー受講中(当時は、合宿ではなく週一開催)に結婚され、その期間にDFC法を学んだおかげで、二人とも「結婚費用はもったいない」ということで、未だに結婚式の予定は無いそうです。(笑)
その代わり(?)僕が推奨する、ある企業の株式をシッカリ買われたそうですけれど。
また、このご夫婦。セミナー前は(共働きなのに)保険を検討されていたようですが、「共働きで、収入のリスク・ヘッジとなっているから保険は必要ない」という我々の意見により「少なくとも」ボーナス付の保険の購入は止めたそうです。
ついでですから、未だ出版元が決まらない「おりこうさんとおばかさん」の一部、「ボーナス付保険」に関する一節を披露します。
「掛け捨てじゃない保険」 おばかさん・・・ 「せっかく保険料を支払うんだから、掛け捨てじゃもったいないよ」と、払い戻しがある保険商品を選ぶ人。 おりこうさん・・ 「保険は保険だから、必要最低限の保障の掛け捨てを支払えば良いよ」と、余った資金をもっと利回りがよい金融商品で運用する人。 |
「掛け捨てじゃない保険」というのは、掛け金の一部を保険会社が運用し、設定された時期に設定額を払い戻すわけです。
要するに保険商品そのものに「投資信託を抱き合わせて販売しているようなもの」なのです。それもDFC法で計算すると「投資信託部分の利回り」は全然大したことありません。例えば、10年後のボーナス20万円を、DFC法で現在価値を考えてみればスグに分かりますね。
ボーナス付保険を利用すべきは、「自分で資産運用が出来ない人」とか、「金があると使ってしまう人」といった、お金に関する知識に乏しい人だけです。
何度も書いていることですが、金融機関が自分が損する商品を売るわけ無いじゃないですかぁ。(笑)
まぁ、以上のようなことを、50項目ぐらい書いているわけですが、駄目ですかねぇ?
僕、売れると思うんですけど・・・・生活と経済編。
これが売れたら、次は、「ディスカウント・キャッシュフローで考えるデートと恋愛」なぁ~んてのも考えているのですケレド。
それでは、本題「価値変動と価格変動リスク」についてです。
このところ、「エンタープライズDFC法」をセミナーで教えている一方、その根幹である「資本コスト」について、散々文句と新しい提案をしているわけですが、現在の「資本コスト」に関する考察において、僕が何を一番気に入らないのかを書いてみます。
まぁ、業界(?)では、よく指摘されていることなのですが・・・・
DFC法を用いた企業価値評価というのは、(当たり前のことですが)テクニカル分析ではなく、ファンダメンタル分析のはずです。
ですから、「過去業績」を分析し、それを参考に新規投資の割合や、リターンの予測などを通じて、「将来業績」を予想をしていくわけです。そして、この段階で求めたいものは、「将来フリーキャッシュフローの予測」です。
しっかり、しつこく、ファンダメンタルを分析し、フリーキャッシュフローを10年分ぐらい詳細に割り出し、さらに継続企業価値まで、慎重にその因数を考察しながら実施するわけですが、この分析から得られた「将来フリーキャッシュフロー」を現在価値に割り引く時、その割引率には、当該企業の資本コストを利用するわけです。
この考え方そのものに、僕は異論を唱えません。
よって、経済的付加価値=(ROIC-WACC=Spread)*IC(投下資本)=理論企業価値上昇分という概念には、賛成です。
ですが、現在、広く認知されている「株主資本コスト」の考え方である「CAPM」では、ヒジョーに残念なことに、「過去の価格変動履歴から割り出されたテクニカルファクター」を使ってしまうのです。
つまり、「価格変動リスク」をたった一つの数値に集約した「ヒストリカルβ」がCAPMの重要な因数になってしまっているということです。
一方、DFC法の弱点と言えることですが、得られる企業価値に大きなインパクトを与える因数は、何と言っても割引率(=WACC:加重平均資本コスト)なのです。
つまり、慎重にファンダメンタル分析をしたにもかかわらず、最後は、テクニカルファクターで、「汚されてしまう」という点が、僕がCAPMを直に受け入れられない理由です。
以上の問題点に関して、現在新しいアプローチを試行錯誤中であることは、以前にもお伝えしましたが、その新しいアプローチを研究するにあたり、そのベースになる考え方が、表題にある通り、「価格変動リスク」に代わって「価値変動リスク」をCAPMの因数として利用できないか?というものなのです。
「価値変動リスク」と言っても、ピンと来ない方もいらっしゃるかと思います。概念は分かっても、「だから因数に何を利用するのか?」という疑問をもたれる方もいらっしゃるでしょう。
(こればかりは、タイプが滑っても、現時点では書くことが出来ません、ごめんなさい。)
または、「それが分かれば、苦労しない、世界中の皆が現在のCAPMに疑問を持ち、新しい概念を探しているんだからさ。」という意見をお持ちの人もおられるでしょう。
僕は、それを、ちょいと掴んでいるのです。
だから、以上に関する「プチ論文」なるものを、書こうと思っているわけです。(人によっては、概要を話すと「それって、プチ論文じゃなくて、メガ論文だよ!」という方もいらっしゃいます。
いずれにせよ、投資家が注目すべきは、短期の「価格変動リスク」ではなく「価値変動リスク」であるというわけです。(短期の取引で、サヤを得る人を、僕は投資家ではなく、投機家と呼んでいます。)
いずれ、しかるべきところで、この「プチ論文」を発表できればと思いますが、もし、僕の目論見が外れて理論として確立できなかった場合は、正直に「ごめんなさい」と書きます。しかし、「チャレンジ=価値」が僕の根幹の思想であるわけですから、まずはやってみたいと思います。
話、セミナーに変わります。
まだ、案内ページには、反映されていませんが、次回以降「ファミリーで割引」(「ファミリー割引」だと、どっかの通信会社がその商標を持っていそうなので、「で」が付きます(笑))を設定いたしました。
ご夫婦、親子でセミナーへご参加いただいた方は、一割引となります。よろしくです。 今日は、こんなところで。
(今週は、出張「簡易・企業価値評価セミナー」が三本もあるのですよ。ああ急がしい。でも楽しい。)
2005年1月25日 板倉雄一郎